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ECS、出展社1100社超 来場者は3万人

前回比11%増の出展数(1135社)

ニュルンベルクメッセ/ヴィンセンツネットワーク主催のEuropean Coatings Show2017が4月4日から3日間、独・ニュルンベルクメッセで開かれた。塗料・コーティング、接着剤、シーラント、建設化学品などの本見本市は隔年で開催され、世界最大級のコーティングショーとなっている。

今回の出展社数は初めて1100社を超え、1135社(前回比11%増、ドイツ以外から68%)、ネットスペース3万9865㎡(ドイツ以外55%)の会場7ホールに、40カ国からドイツ363社、中国203社、イタリア74社、オランダ65社、イギリス60社に続き、アメリカ42社、インド42社、ベルギー37社、フランス34社、スイス32社のほか、アジア・アラブ圏などが出展した。アジア(中国、インド、日本、韓国、マレーシア、台湾)は前回比15%増えた。初出展は277社。

また、来場者も初めて3万人を超え、120カ国から3万198人が来場した(前回2万8481人のうち62%がドイツ以外)。トップ10は、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコ、イギリス、スイス、ポーランド、フランス、アメリカ、スペインとなっている。

会場には、中国、韓国、チェコのパビリオンのほか、3回目となるドイツ経済省がサポートするイノベイティブな企業を集めたコーナーが設けられた。環境対応、規制対応、天然、水性、マイクロバイアル、次世代新用途展開などをキーワードに、大きなスタンドを構えたのは、メルク、ワッカー、オルネクス、ルーブリゾール、アルケマ、ダウ、コベストロ、BYK、DSM、クラリアント、ランクセス、パーストープ、BASF、エボニック、ホイバッハなど。

日系からは、カネカ、ダイセル、三井、クラレ、ニッソー、伊藤忠、SUN(DIC)、荒川化学、AGC、アデカ、旭化成、SETylose(信越化学)、楠本化成、岐阜セラツクなどであった。白石工業、東洋アルミニウムも関連企業ブースで展示を行った。
 製造機器や試験機測定器では、ビューラー、NETZSH、DROMONT、COROB、データカラー、コニカミノルタ、アトラス、エルコメーター、フィッシャー、Q-LAB、エックスライト、デフレスコなど。色見本帳のRALも出展した。

出展社プレゼンテーションも顔料、水性、表面処理、機能性、2Kシステム、添加剤など充実し、特にナッツオイルなどバイオベースにはサステナブルの観点から高い関心が寄せられた。

同時開催のEuropean Coatings Conference2017には世界から有力な技術者が発表の場として登壇。24セッション・14トピックスのプレゼンテーションに800人以上が聴講した。

日本からは「Protective Coatings」分野で、ローバル(大阪)の技術部開発課課長・中村健一氏が「水性ジンクリッチペイント」に関する技術講演(30分)を4日に行った。「2 component and 1 component waterbased zinc rich paints with exceptional corrosion resistance」のタイトルで、同社が開発した1液1粉末タイプの水性有機ジンクリッチペイントの技術発表に加え、世界有数の亜鉛末メーカーであるEverZinc(旧Umicore Zinc Chemicals、本社ベルギー)と共同開発中の世界初となる1液水性有機ジンクリッチペイントの技術発表があった。

カンファレンスでの講義の様子

聴講者は100人ほどで、発表後の質疑応答も盛んであり、環境対応型塗料への高い関心がうかがえた。「今後はアメリカなど世界各国に向けての技術情報発信とともに、世界初となる1液水性有機ジンクリッチペイントの製品化に向けて、活動を加速させていく」とした。

なお、最優秀論文賞アワードにはDSMコーティングレジン(オランダ)のBas Tuijtelaas氏の「Health risk-free resins for a better future, based on fatty acid  modified Polyurethane Dispersion(脂肪酸変性ポリウレタンディスパージョン)」が選ばれ、2000ユーロの賞金とトロフィーがヨーロピアンコーティングスジャーナル編集長から手渡された。

ECSは毎回、質も規模も大きくなっている。同時に中国企業の出展もますます増えている。中国塗料工業協会は50人を超える視察団を組んで訪問。カンファレンスも同様、毎回充実している。

なお、本紙も出展し、日本の塗料産業の情報発信に努めるなか、「日本でもこのようなコーティングショーがあると良いのだが」との声も聞かれた関連見本市のABRAFATI(ブラジル)は今年10月、PAINTINDIAは来年3月、American Coatings Showは4月に開かれる。ECS2019は再来年の3月の開催予定となっている。