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日産、エンジン加工技術 独ヘラー社へライセンス供与

ミラーボアコーティングを採用した新型4気筒エンジン

日産自動車は、自動車エンジンの生産工程で用いる日産の独自技術「ニッサン・マシニング・ラフニング・プロセス(Nissan Machining Roughening Process:以下、NMRP)」のライセンスを工作機械メーカー大手であるGebr. Heller Maschinenfabrik GmbH(ドイツ ニュルティンゲン 以下、ヘラー)に供与したことを発表した。

これにより、世界の自動車メーカー各社はNMRPを利用したヘラー製のマシンを導入することで、エネルギー効率の高い「鉄系溶射皮膜」を採用したエンジンを安定した品質で量産することが可能となる。

自動車エンジンのピストンが上下運動する筒状のスペース(シリンダーボア)を摩擦や熱から保護するため、通常シリンダーボアの内側には2.6mmほどの厚みを持つ鋳鉄製ライナーが挿入されている。

近年、エンジンの軽量化や燃費向上のため、高性能車、超低燃費車を皮切りに、鋳鉄製ライナーに替わる鉄系溶射皮膜でのコーティングによる技術の採用が始まっていた。

鉄系溶射皮膜とは、溶けた低炭素鋼を吹き付ける(溶射)ことにより、わずか約0.2mmの薄膜化を実現する。加工後にシリンダーボアの内面を鏡面仕上げとすることから「ミラーボアコーティング」とも呼ばれ、軽量化や冷却性能の向上により、運転者が負担なくエンジンのエネルギー効率を向上させることができる。

しかし、鉄系溶射皮膜は、従来の技術では安定した品質で量産を行う事が困難であり、一部の高性能エンジンにしか採用されていなかった。

量産には、高度な溶射技術に加え、常に爆発・圧縮にさらされているシリンダーボアの内面でも溶射した皮膜が密着を維持する技術の必要があった。

日産が開発したNMRPは、ボーリング加工の一種で、工具と加工条件を最適化することにより、溶射皮膜が強固に密着するようシリンダーボアの内面を粗面化する技術である。NMRPと適切な溶射技術を組み合わせることで、鉄系溶射皮膜を持つエンジンの安定的かつ安価な量産が可能となるという。

同社は、「NISSAN GT-R」のVR38DETエンジンに初めて鉄系溶射被膜を採用し、その後「ジューク 16GT」のMR16DDTエンジン、「Infiniti Q50、Q60」のVR30DDTTエンジン、「パスファインダー、Infiniti QX60」のVQ35DDエンジン、HR12DDRエンジン、MR20DDエンジン等、高性能エンジンだけでなく、ミニバンやコンパクトカー等の新世代低燃費エンジンにも採用を拡大している。
写真=同社リリースより