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壁紙から転換で15万トン増 製販装団体最新報告

日本塗料工業会、日本塗料商業組合、日本塗装工業会の製販装3団体は合同で「平成29年度塗料塗装・最新動向セミナー」を8月22日午後1時半から、東京都渋谷区恵比寿の東京塗料会館で、満席の参加者を集めて開いた。日塗工からは内需伸び悩みへの対応として製品の高付加価値化や内装への進攻、日塗商は塗料マイスター認定制度の導入検討、日塗装は「ピクトルーラー」の投入などの最新施策を説明した。

「日本と世界の塗料需要動向」では中村英朗日塗工専務理事が、6月までの今年度第1四半期は前年同期比2~3%増で足下は順調と報告。また塗料メーカーの近年の国内売上は横ばいながら営業利益は上昇だが、その背景には原材料価格の下落による原材料比率の低下があるとした。研究開発費や減価償却費の低下傾向も指摘した。

メーカー全体の横ばいに対し、上場大手12社はリーマン・ショック以降も売り上げの伸長に成功。M&Aの加速による海外分増などもあり連結売上をショック直後の12社合計8千億円強から、17年には1兆4千億円強へと1・8倍に拡大した。16年には12社は売り上げの5割強を、営業利益の4割強を海外で稼いだ。また日本の塗料メーカーの海外生産規模は16年が320万tで、国内生産の約2倍。地域別では中国が200万tに達しインド50万tなど。

世界の販売ランキングでは日本ペイントはPPG、シャーウィン・ウィリアムズ、アクゾ・ノーベルのビッグ3に次ぐ4位。関西ペイントが8位。アジアでは日本ペイント、関西ペイント、インドのアジアンペインツがビッグ3を形成する。

業界の課題としては国内需要の拡大の困難さを上げ、方策として①塗料の付加価値のアップや②壁紙からの転換で15万tの需要増が計算できる内装用塗料の拡大。そのためには一般消費者への塗料認知度のアップの挑戦が必須とした。また人口減による労働力不足対策としては①生産性改善、企業スリム化②労働・職場環境の改善→働きやすい企業③待遇改善などを挙げた。

続く「塗料販売業の現況と今後の市場展開」では渋谷和伸日塗商専務理事が壁紙に90%以上を握られている内装への攻勢策として「内装塗替え支援キャンペーン」の取り組みを紹介。また来年の日塗商創立70周年を機に、次世代を担う青年部を発足させた。塗料のスペシャリストとして塗料・塗装のすばらしさをアドバイスする塗料マイスターの認定制度の検討も進めているとした。

さらに竹内金吾日塗装専務理事は「建築塗装の現状と今後について」で建築塗装では今後特に人材(技能者)の確保・育成が課題と指摘。その対応として①生産性の向上や②女性・外国人・シニアの労働参加などを挙げた。日塗装の女性技能者の割合は4%に止まる。国交省も提唱する生産性向上では具体策として計測・積算アプリの「ピクトルーラー」を投入し現在普及中だ。

20年には17年比17%増と成長余力十分の住宅リフォーム市場では①中古住宅の流通と空き家の利活用②若年・子育て世帯や高齢者が安心して暮らせる住生活などがテーマとなり狙い目とした。

なお、同セミナーは23日に名古屋市の名古屋国際センター、24日に大阪市のエル・おおさかでも開催された。