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久保孝ペイント、粉体カラーカードシステム

久保孝ペイントでは、必要な時に必要な量の粉体塗料を提供できる「粉体カラーカードシステム」を展開している。同システムは、ソリッド色182色、模様塗料20色の合計202色について一定量の在庫を持ち合わせていて、「粉体カラーカード」の名で1ケース(15㎏)から販売しているもの。常備在庫していることにより即日発送が可能となっている。

取り扱い色は色見本帳の粉体カラーカードに全色掲載。コンパクトな短冊型で持ち運びがしやすく、現場で素早く色の確認ができる。現在、同社の売り上げ構成は粉体塗料6、液状塗料4という比率になっている。粉体塗料は上半期実績で前年比2ケタ台の伸びであり、その中核はこのカラーカードだという。色数の豊富さから、不特定多数のユーザーからの注文が多く、そうしたユーザーからは使用後に塗着効率や付き回り性に優れ、さらにブロッキングがしにくく管理幅が広いといった点が評価されているそうだ。

リーマン・ショックで塗料の実績は大きく落ち込んだが、粉体塗料については影響が少なく、現在まで横ばいの実績情況を続けている。昨今は、粉体塗料を初めて取り入れるというユーザーが増えているとのこと。溶剤系塗料のみで塗装をしていた会社が、環境対応のために取り入れており、現状では、粉体塗装と溶剤塗装を併用しているケースが多い。溶剤系塗料を使用している工業塗装ラインでは、水系塗料への置き換えは排水処理設備などで困難な点が多く、粉体塗料のほうが置き換えしやすい。

粉体塗料でよく取り上げられる低温化については、今でも変わらないユーザーニーズであり、同社では低温焼き付けができ、地球に優しいポリエステル樹脂系の「ニッシンパウダーPE777ライン」を上市している。PRTR物質であるε―カプロラクタムを含んでいないので、焼き付け時の発煙や発臭が低減され、耐熱黄変性や上塗り適性向上、耐侯性、エッジカバー性に優れている。従来のブロックイソシアネート硬化型では難しかった低温焼き付けが可能なため、燃料消費やCO2排出量の削減にも貢献できる。

同社ではカラーカードの製品分についても低温化を進める意向で、現在180℃×20分であるのを下げる方向を目指している。一方、トレンド商品ともいうべき遮熱タイプの粉体塗料は既に完成している。電気関係の中継ボックスにテスト使用しており、内部の基盤へのダメージを減らすことや節電効果などを調査中とのこと。

この他、1コートで膜形成がポイントの粉体塗料だが、これを2層塗りする用途も出てきている。これは防食関係の分野で、ジンクパウダーを下塗りとし、上塗りも粉体塗料で仕上げるというもの。下塗り、あるいは上塗りに溶剤系塗料を組み合わせる仕様もある。溶融亜鉛めっきの代替として採用されている。不特定のユーザーが増えることで、このような新しい用途が出現しているという。同社では、粉体塗料は初体験という、こうしたユーザーに対して粉体塗料と液状塗料を組み合わせた塗装仕様の提案を行っている。

現状、工作機械や配電盤関係が需要先として多いが、こうしたことで他の用途開拓も進め、溶剤系塗料を使用することが当たり前と思われている分野にも、粉体塗料の機能性や付加価値をアピールしていくとのことだ。
『塗料報知』2016年10月7日号(4154号)掲載

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