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2016粉体特集、再開発地区で採用広がる

 

【特集】2016粉体大橋(アクア完成予想図)

オリンピックアクアティクスセンターほか五輪施設へさらに攻勢(提供:東京都)

 

(『塗料報知』2016年10月7日号(4154号)掲載)

新国立競技場が年内に着工の予定など、東京五輪の競技施設の新設・改修や関連施設の工事の着工が本格化し始めた。工事に当たっては詳細な環境アセスメントを実施するなど、環境への配慮を徹底しており、塗料の調達でもVOC(揮発性有機化合物)の排出ゼロで、LCC(ライフサイクルコスト)も低く抑えられるふっ素樹脂粉体塗料の採用が十分に見込めそうだ。実際に五輪施設の「武蔵野の森総合スポーツ施設」に使われ、東京などの都市再開発でも採用物件が相次いできた。

金属外装建材にふっ素樹脂粉体塗料

今年度中に完工予定で、近代五種の会場となる武蔵野の森総合スポーツ施設の外装カーテンウォールには、VOCゼロと超耐候性が高評価され、FEVEタイプのふっ素樹脂粉体塗料が採用された。また、最近ではふっ素樹脂とポリエステルの混合粉体(=ハイブリッドふっ素樹脂粉体)が上市され、性能・コスト面でふっ素樹脂粉単体の粉体と比べ優位性があることから、粉体の採用に拍車がかかる。

来秋には地上27階の超高層オフィスビルと2棟のタワーマンションが完成する品川区の目黒駅前地区第1種市街地再開発や、江東区木場のシミズものづくりアカデミーにはハイブリッドふっ素樹脂粉体塗料を塗ったカーテンウォールや外壁材が相次いで架かった。超耐候性が求められるカーテンウォールなどの金属外装建材には、PVDFタイプの溶剤ふっ素樹脂塗料が多用されてきたが、環境配慮型でVOC排出ゼロのふっ素樹脂粉体塗料が登場。

ふっ素樹脂粉体塗料は塗り重ねによりVOCを排出する溶剤ふっ素に対し、中低温焼付の40μ以上の厚膜1コートで済み、VOCの発生がゼロ。この環境配慮に優れた特徴が高評価されている。また、ハイブリッドふっ素樹脂粉体塗料は表層のふっ素樹脂の高耐候力に加え、その下層のふっ素樹脂とポリエステル樹脂の混層が十分な可撓性(柔軟性)を発揮し下地への付着が特に優れるもの。耐候性能は溶剤ふっ素やふっ素樹脂粉体に劣らない。高耐候性ポリエステル粉体塗料もカーテンウォールの内部などが用途の中心で有望だ。残り4年弱に迫った東京五輪の新設および改修競技施設の完工予定は開催前年のプレオリンピック開催の余裕もみて、2019年度中に集中。すでに実施設計および着工の段階に入った。

オリンピック施設で採用広がるか?

新設で整備費351億円の武蔵野の森総合スポーツ施設(調布市)ではすでにふっ素樹脂粉体塗料が採用された。東京都の調査チームによる競技会場の見直しの提言が9月29日に出たことから、規模の縮小などの可能性が出てきたものの、同683億円の水泳競技の会場となるオリンピックアクアティクスセンター(江東区辰巳)や同404億円でバレーボールの会場となる有明アリーナ(江東区有明) なども同じく新設。ハイブリッドふっ素樹脂粉体やふっ素樹脂粉体の攻勢の対象になる。整備費1489億円の新国立競技場も有力な対象に違いない。

実際、日本スポーツ振興センター(JSC)によれば、現在実施設計中の新国立競技場では整備事業の業務要求水準書で、適用基準の「公共建築工事標準仕様書」での環境への配慮として、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進に関する法律)によることを明記。「環境負荷を低減できる材料を選定するように努めること」とし、使用材料の選定では「VOCの放散による健康への影響に配慮すること」と、極力、VOCゼロ化の方針を盛り込んでいる。塗料の調達は施工事業者が行うが、このJSCの方針に沿わなければならない。

東京都も「東京都環境物品等調達方針」により、光化学スモッグ対策としても、土木・建築工事などでのVOCを含む塗料の使用抑制を強力に推進中。「カーテンウォールなどへのふっ素樹脂粉体塗料の採用はVOC削減はもちろん、CO2排出削減やLCC面でも有効」(環境局環境改善部化学物質対策課)との考えだ。

ハイブリッドふっ素樹脂粉体およびふっ素樹脂紛体塗料の市場攻勢が大いに期待される。

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