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2016 業界5大ニュース<テクノロジー編>

『塗料報知』記者が選ぶ~2016年ここだけは、おさえておこう!!~

1位 特許庁調査報告書の技術テーマに「塗料」選定

特許庁平成27年度特許出願技術動向調査報告書を公表。技術テーマの一つに「塗料」を選定。中国に集結する世界の塗料技術動向を把握。

特許庁は、平成27年度「特許出願技術動向調査報告書」を3月にまとめ、6月に公表した。今回は、日本が目指すべき研究開発の方向性を示すため、社会的に注目を集めている技術分野である「自動車用予防安全技術」「ナノファイバー」「ウエアラブル端末」など11件のテーマと、日本企業が中国市場へ進出することを支援するため、中国において出願が活発に行われている技術分野である「液晶表示素子」「風力発電」そして「塗料」など9件の技術テーマが選定されている。

塗料編では、まず中国塗料市場の概要を紹介。市場規模は急激に拡大しており2014年の生産量は1650万トンにまで達していることに触れ、需要拡大を牽引するのは建築用の汎用塗料としている。中国塗料工業協会による産業発展計画も紹介されており、今後の発展目標は「環境保護・省エネ」「技術革新」である。また、日本の塗料産業については、次の3点を提言している。

▽知財戦略=中国において特許出願が増加している遮熱性塗料や自動車用塗料等の高機能性塗料、環境対応塗料の分野は我が国の塗料企業が技術的優位性を有していることから、中国企業等の追随を許さないための継続的な研究・技術開発による技術の深化と明確な知的財産戦略が重要。

▽環境対応=中国市場においては環境規制に沿う塗料が求められることから、我が国の塗料企業は、中国における環境規制や政府の施策・方針から予測される中国企業の研究・技術開発動向を先取りした対応が必要。

▽中長期戦略=中国の戦略に対応して中長期的な観点に立った塗料関連技術の研究・技術開発能力も併せて向上させ、権利取得を行うことが必要。
                         ◇
本調査委員会の委員長奴間伸茂氏は「中国は〝世界の工場〟として世界中の技術が集結し、かつアジア諸国の中では特許制度が整備されていることから、この調査結果で世界の塗料技術の動向が把握できる」と述べたうえで「日本の塗料産業がこれから起こり得る技術革新に対応できるように、〝10年、20年後のために今何をすべきか〟を考える材料として、企業の経営を担う幹部の方々に読んでいただきたい資料である」と本紙にコメントを寄せている。

 なお、同報告書は、特許庁図書館、 国立国会図書館、各道府県の知財総合支援窓口で閲覧できる。また、概要版については特許庁Webサイト(https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/h27/27_13.pdf)でも公開されている。

『塗料報知』2016年7月17日号1面(No.4146)

2位 マツダ、VOCとCO₂の排出量削減する塗装技術にエコプロダクツ優秀賞

マツダの新塗装技術「アクアテック塗装」が「エコプロダクツ大賞推進協議会会長賞」を受賞。VOC排出量とCO₂排出量の削減を同時に実現。

マツダは、揮発性有機化合物(以下、VOC)と二酸化炭素(以下、CO2)排出量の同時削減を実現した塗装技術「アクアテック塗装」で、第13回エコプロダクツ大賞において、優秀賞にあたる「エコプロダクツ大賞推進協議会会長賞」を受賞した。マツダの受賞は、第11回の「SKYACTIV―D1.5」での国土交通大臣賞受賞以来、2年ぶり5回目となる。

今回の受賞は、自動車の塗装工程において課題となっているVOC排出量とCO2排出量の削減を同時に実現した点にある。VOCとCO2は本来トレードオフの関係にあるが、マツダは独自の水性塗装技術「アクアテック塗装」により両方の削減に成功。今回この技術が“優れたエコプロダクツ製造を支える”として高く評価された。VOCとCO2のトレードオフ関係の課題に対して、アクアテック塗装では、主に①高機能塗料の開発による工程集約と②塗装工程の効率化で問題の解決を図った。

①の工程集約とは、従来は電着の上に、油性ベースの2層を同じ機能の塗料で塗り重ねていたが、アクアテック塗装では、違う塗膜の機能を待たせた2種類の水性ベースを積層させている。また、耐チッピング性の機能があるウレタンクリアを採用し、従来の中塗りの機能をベース&クリア塗装に移管した。これにより、水性塗装でVOCを削減し、かつ、工程省略でエネルギー消費を低減させた。

②の塗装工程の効率化では、新開発の塗装ブースに、外気温に応じて必要最小限の加温と湿度の調整だけで、水の蒸発スピードをリアルタイムに自動コントロールできるシステムを導入した。塗料をボディに定着させるためには、塗布の前後の塗料に含まれる水分量のコントロールが重要である。これまでの水性塗装ブースでは空調装置にて、温・湿度を調整するエアをブース内に送り込んでいた。これは必ずしもエネルギー効率は良いとは言えず、CO2の排出量が多かった。しかし、今回導入した新塗装ブースは、CO2削減効果が全体の60%に寄与し、環境に優しいアクアテック塗装を実現させた。

『塗料報知』2016年12月7日号3面(No.4160)

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