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国際ロボット展から見る最新塗装ロボット

人手不足対応や生産性向上のため、ものづくりの現場では中小企業においてもロボット導入への関心が高まっている。ロボットはますます人と協同で働きやすくなる方向へと進化している。塗装の現場もその例外ではなく、ロボットのティーチングや省エネ・スペース化、IoT化には拍車がかかる。11月29日からの4日間、東京ビッグサイトで開催された「2017国際ロボット展」でも、各種の産業用ロボットのなかに塗装ロボットも重要なポジションを占めており、各社とも様々な新機能を搭載した機種の動作実演を行っていた。主なメーカーの製品を紹介する。

川崎重工業  遠隔操作装置で微細な動きも伝えられる

川崎重工業では、「新たなロボットの在り方を提案する新ロボットシステム」として「Successor(サクセサー:継承者)」を新発表し、塗装作業など各種作業を実演した。

現在の製造業ラインには、いまだ人の感覚に頼ったり、非量産品を扱っているため、ロボット化が困難な分野が多数ある。このシステムはそういった領域をロボット化するためのソリューションである。

その特長は、遠隔操縦装置「コミュニケーター」を使い、離れた場所から微細な動きも直感的な操作でロボットに伝えられることにある。

「Successor」の遠隔操縦装置で塗装作業を実演


そのうえで、ロボットに一度動作を覚え込ませれば同じ動きを再現することができるうえ、ファジーな感覚もフィードバックにより反映して、「人の感覚」が必要な作業にも対応することができる。これにより、例えば、塗装ライン上にまれに違った被塗物が流れてきても判別をして、その形状に最適な塗装を行うことができる。

このシステムにより、熟練作業員の技能をロボットに伝承させられるほか、ロボットが覚えた作業データを新人作業員のトレーニングに活用することもできるという。

安川電機 小型塗装用途 中小塗装工場への採用も期待

安川電機では、新型の小型塗装用途ロボット「MOTOMANMPX1950」を出展。同機は可搬質量7㎏で小型のベル型塗装機の操作に最適化されたロボットである。

しかし、小型でありながら「中空手首構造」となっており、塗装ガンや塗料・エア供給パイプをオフセットせずに直接取り付けることが可能で、エア吹き返し等による塗膜欠陥が起こりにくいよう工夫されている。そのうえ、間接位置が見直されており、ロボットの近いエリアを有効活用でき、ロボットと被塗物を接近配置することが可能となっている。

被塗物に接近しての塗装ができる「MPX1950」

このようにロボット寸法、干渉半径を最小化することにより、塗装ブースの省スペース化に貢献できる。また、色替えも制御盤のタイムスケジュール機能により、時間ごとに自動での切り替えセッティングが可能となっている。

ABB 塗装機の部品個体識別 常時塗装機の状態管理

ABBではベル型塗装機RB1000iと塗装ロボットIRB5500の組み合わせを出展。来年1月に上市を予定している本機では、ABB Ability(TM) Connected Atomizerシステムにより、塗装機の部品をRFIDタグで個体識別することで管理する。

常時塗装機の状態を管理できるので、予期せぬ故障や作業効率の低下を未然に防止して、塗着品質向上やエア消費量削減に貢献するIoT型の塗装ロボットシステムとなっている。

ABBではセンサー搭載システムで品質管理強化と高効率塗装を実現する

ファナック 7つの関節で自由度の高い動作

ファナックでは、7軸型の塗装ロボット「P1000i」とフードオープナーロボット「P35i」の組み合わせの動作実演を行った。

P1000i」は広い動作範囲と7つの関節を備えることで、自由度の高い動作が可能なのが特長。これにより限られたスペースでも効率的に塗装作業を行えるため、機器配置レイアウトの自由度が増し、塗装ブースの大幅な縮小に貢献する。あわせて、機構部と塗装用プロセス機器を監視・保護する同社のゼロダウンタイムパッケージもオプションで利用できる。現在米国での自動車塗装ラインで多く採用されているが、今後は日本国内での販売にも注力していくという。

塗装ロボット「P-1000i」(右)とフードオープナー「P-35i」(左)の組み合わせ
全自動で自動車内部の塗装を行うことができる


P1000i」はフードオープナーロボット「P35i」やドアオープナーロボット「P20iB」と組み合わせて、一つの制御装置から制御が可能。自動車内部の塗装もフード・ドア開け→塗装機を内部に入れての塗装の一連の作業を全自動で行うことができる。