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日塗工、福岡でC・ケア宣言会社連絡会

日本塗料工業会「2025年度コーティング・ケア宣言会社連絡会」が8月1日午後2時から福岡県古賀市青柳のTOPPANパッケージプロダクツ福岡工場大会議室で開かれ、オンラインと合わせて60人余り(リアル参加者30人、WEB参加者36人)が参加した。また、同工場見学も合わせて実施した。

リアルとWEB合わせて60人余りが参加


あいさつに立ったコーティング・ケア推進部会長の小坂伊知郎氏(神東塗料代表取締役社長執行役員)は「ESGへの意識の高まりにより、持続可能、社会課題への対応が求められる。環境負荷低減、安全への強化はますます重要な要素となる。個社のみならず、業界全体の連携が大事である。 今日は事例や最新情報、各種規制を踏まえ、より実効性のある活動に繋げていきたい。課題を吸い上げ、改善に向けて現場に根差したレベルアップを図っていきたい。またネットワークの一助となることを願う」と述べた。
 
続いてTOPPAN九州事業部第一営業本部本部長の元森貴昭氏は「情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの3事業がある。この九州アカウントでは少ロット多品種により、市場を捉える重要な要素となっている。環境対応はもちろん、安全道場を設けての安全安心、省人化の取組みなど、皆さんとともに突破する会社として紹介したい」と話した。
 
基調講演「福岡工場群 環境に関する取り組み、取り巻く環境課題とTOPPANのモノづくり、製造現場の課題解決ソリューション」では、2024年サイトエコレポート(トッパンコミュニケーションプロダクツ福岡工場/トッパンパッケージプロダクツ福岡工場)等を通じて環境保全への積極的な取組みと貢献、また国内外の環境課題に対応するサステナブル包材(バリューチェーンに沿った最適な選択肢を提供するブランドSMARTSのもと、脱アルミ化のGL FILM、リデュースのエアホールドパウチ、輸送効率最適化のEP‐PAKなど)や工場の自動化や安全対策を実現する製造DXソリューション(スマート点検支援サービスとして熱中症対策にも活用できるe‐platch、人や物につけたタグによるセンシングで位置情報を取得できるID‐Watcyなど)の数々の紹介があった。
 
その後、コーティング・ケア宣言会社連絡会事例報告が行われ、今回はイサム塗料、カシュー、大信ペイントの3社から報告があった。
 
閉会にあたり、同コーティング・ケア推進副部会長の北村倍章氏(イサム塗料代表取締役社長)は「各社から事例を取り上げた報告等、より良い会社、職場づくりへの参考になったのではないか。業界挙げてのコーティング・ケア宣言活動が業界の発展に繋がっていく。実行かつ継続的に知見やネットワークを自社に活かし、品質・安全・環境意識のさらなる向上を目指したい」と述べた。
 
終了後、会場を移して意見交換懇親会が開かれ、日本塗料工業会常務理事の田桐澤根氏が「昨年以上の参加があった。発表の中で感じたのはトップ判断、経営層の関わりが推進には大事であるということだ。次年度も活動を繋げていきたい。今日は現場に役立つDX改善の数々の紹介があった。この場でも意見交換を交わそう」とあり、懇親に入った。

参加者一同が揃い記念撮影


〈2025年度コーティング・ケア宣言会社連絡会事例報告〉
▽イサム塗料=「安全・環境への取組み」(滋賀工場生産管理部環境安全課長姫野豊氏) 会社概要、安全衛生の取組み、環境への取組み、その他の取組み、今後の方針について報告。特に安全衛生の取組みでは、活動事例として「安全道場」の新設について披露した。新設の背景には、昨今、多くの企業で定年退職者の増加や職場の若返りが進み、引き継ぐべき重要な事柄が適切に伝達されていないという問題が顕在化しているとして、従来の座学中心の安全教育だけではなく、安全体感教育の必要性や重要性を強く認識し、2024年度に滋賀工場の製造改善プロジェクトの取組みとして、4台の安全体感装置(静電気溶剤蒸発・爆発体感装置、回転体巻き込まれ体感装置、Vベルト巻き込まれ体感装置、粉じん爆発体験装置)を導入して開設準備を進め、2025年5月から本格的に安全道場の運営を開始しているとあった。また、「研修・見学、体験学習の場として、社外の方にも広く活用してもらうことで、社会貢献とCSR向上にも取り組んでいきたい」とした。
 
▽カシュー=「コーティング・ケア活動報告」(生産本部久喜工場長稲葉大実氏)
 会社概要、環境活動への取組み、安全への取組み、防災への取組み、まとめについて報告。安全衛生への取組みでは、労働安全衛生方針として、1.安全・衛生はすべてに優先する/2.決めたことは守り、守らせる/3.危ない仕事は絶対にしない、させない/4.管理監督者が先頭に立ち、災害『ゼロ』実現のため危険『ゼロ』を目指す、を掲げている。また、各工場に安全衛生委員会を設置し、毎月開催。主な活動として、安全パトロールの実施により、昨年度指摘事項124件が改善され68件に、社内学習会では静電気学習会、フォークリフト安全運転学習会、熱中症対策学習会などの実施のほか、ヒヤリハット案件の共有と対策実施では、2020年の同件数127件/改善率100、2021年(同148/100)、2022年(同111/ 100)、2023年(同93/100)、2024年(同97/98)となっている。
 
▽大信ペイント=「コーティング・ケア活動の取り組み」(製造・SCMユニット製造グループリーダー角尾武史氏)会社概要、安全・環境・衛生への取り組み、事例報告について報告。事例報告では、(1)作業環境改善の取組み(洗浄槽の製作)、(2)暑さへの取組み(クーリングタイムの設定)、役職者の巡視及び声掛けの励行、スポーツドリンク・塩分タブレットの常備、スポットクーラーの増設、遮熱シートの設置、(3)所轄消防署の技術訓練大会に参加、(4)工場で消火訓練の実施、(5)地域社会への貢献、(6)5S活動の推進(各セクションからメンバー選出して工場、倉庫など巡視)などを紹介した。

施設内の「安全道場」を見学


なお、午後1時からの工場見学(1961年設立、敷地面積8万4636㎡、従業員数437人)においては、2グループに分かれ安全道場と工場の見学を行った。「安全は全てに優先する」と共通禁止動作規定を定めた安全道場では、安全模範の腕章をつけた専門員がタコ足・トラッキング体験装置、ローラー・刃物・Vベルト・チェーンの巻き込まれ体験装置、静電気発生装置、溶剤引火体験装置などを解説した。また、食品や医薬品の軟包装材を製造する工場見学では、事前に、製版工程から刷版工程、グラビア印刷/デジタル印刷~貼り合わせ、スリット加工~製袋工程~製造DX~出荷、セキュリティといった一連の映像紹介のあと、実際の工程を見学。また、環境への対応、VOC回収や熱源としての再生・再利用、カメラ映像による作業分析が紹介された。