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水性塗料化に貢献する新機能性材料「ポリエステル水溶液 プラスコート」

水性塗料化に貢献する新機能性材料「ポリエステル水溶液 プラスコート」 <互応化学工業株式会社 古賀 慎也>

近年、VOC規制などの環境問題の観点で、溶剤系から水系への動きが高まっている。リサイクル・環境問題などに対応する、時代が求めた、人と地球にやさしいマテリアルであるポリエステル水溶液「プラスコート」について紹介する。

キーワード

水系ポリエステル樹脂 プライマー バインダー 添加剤 水系グラビアインク用樹脂 非シリコーン系離型コート剤

1.はじめに

近年、オゾン層の破壊による地球温暖化や大気汚染等の環境問題に対して注目が集まる中、社会的にこれらの問題に対処する規制等が行われている。2006年4月1日より施行されたVOC(揮発性有機化合物)排出規制により、法規制対象企業は排ガス処理システムやVOC成分回収処理装置などの導入によって、炭素換算濃度を排出基準値内に抑える必要があり、その他の企業においても自主的取組によって3割削減の実現を迫られている。さらに、中国では2018年1月1日より「環境保護税法」が施行され、VOCのみならず、環境規制そのものが厳格化されることが世界規模で周知されている。このような動向の中で、有機溶剤系から無溶剤化、あるいは水系化への検討を進める企業が増えてきていることは世間一般的に認知されている事ではないだろうか。
当社製品のポリエステル水溶液「プラスコート」は、ポリエステル水溶液という名の通り、水を主成分とした溶媒でポリエステル樹脂を分散するため、加工後の乾燥工程で水以外の揮発性物質を大幅に低減することができる。また、「プラスコート」は有機溶剤をほとんど含まないため、原油価格の変動に伴う影響が比較的少なく、コストの安定化が見込める。このような現状をふまえ、有機溶剤系からの切り替えを積極的に展開している。
本報では、環境配慮型でPETへの密着性に優れているポリエステル水溶液「プラスコート」と、当社が新たに開発した機能性コート剤について紹介する。

2.ポリエステル水溶液 プラスコート

ポリエステル水溶液「プラスコート」は、当社独自の技術を用いて開発した水溶性ポリエステル樹脂であり、乳化剤・分散剤などの界面活性剤を全く使用していない。当社工場では原料から樹脂合成をし、得られた樹脂(写真1)を溶液化(写真2)まで一貫して行っている。テレフタル酸を主成分とした飽和共重合ポリエステル樹脂であるプラスコートは、ポリマー中にハードセグメント、ソフトセグメントを多様に共重合できるため、得られる樹脂被膜は硬い樹脂から柔軟な樹脂、ワックス状の樹脂と自在に調整できる。また、水溶性についても親水基の共重合比率によって自在に調整できることができ、水に溶けやすい樹脂から水に溶けにくい樹脂まで対応する。
主な特徴として
PETや塩ビ、PC等の樹脂基材やアルミニウム板、鋼板等の金属基材に対して優れた密着性を示す
②飽和ポリエステル樹脂であり、二重結合を含まないため、耐候性に優れている
③透明性に優れた被膜を形成する
④分子末端に水酸基またはカルボキシル基を有するため、水性架橋剤で硬化させることにより、さらに高い硬度と耐久性、耐熱性が得られる
⑤樹脂骨格中に難燃成分を共重合した特殊難燃ポリエステル樹脂も別途取り揃えている
こうした優れた機能により、プラスコートは金属加工、塗料用途、フィルム加工、繊維加工など幅広い用途で利用できる。
製品グレードは、分散に使用している溶媒によって分けられ、水のみで分散させた「完全水系グレード」、水+水系溶剤で分散させた「水/水系溶剤グレード」、カルボキシル基側鎖を有する「高酸価グレード」、ナフタレン骨格を有する「PENグレード」がある。

写真1 プラスコート(樹脂粉砕品)

写真2 プラスコート(溶液)

2-1. PETフィルムへの実績

食品包装材や光学フィルムなどに使用されるPETフィルムは、それらの用途に応じて様々な機能性が必要とされる。ベースフィルムに対して、ラミネートや樹脂コーティングが積層され、その機能性を発揮している。積層する機能材の間には、それらを強固に密着させる為の表面処理層が設けられ、一般的にプライマー層と呼んでいる。プラスコートは、プライマー層として高い実績を持っており、特に、PETフィルムの製膜工程で塗工する「インラインコーティング」での実績が多い。PETフィルムを製膜する際、まず原反が縦方向に延伸され、その後にプラスコート(プライマー層)が塗工され、つづく乾燥・横延伸・熱処理の工程を経て、易接着PETとなる。このように、プラスコートは様々な機能性フィルムの実現に貢献している。

2-2. バインダーとしての実績

プラスコートは、導電材や難燃剤などを分散させる「バインダー」としても実績がある。フィルム用途・繊維用途において、機能材を分散させ、被加工物の表面へ機能剤を定着させるためにプラスコートが使用されている。親水性基を多く有しているため、種々の粒子に対して親和性が高く、バインダーとして応用できる。プラスコートを使用することで、水系導電塗料や水系難燃加工剤など、種々の用途における加工剤の水系化に大きく貢献している。

2-3. 添加剤としての実績

プラスコートは上述の通り乳化剤・分散剤を使用していないため高濃度化が難しく固形分は25%程度となる。そのため水系塗料の主剤ではなく水系ウレタンや水系アクリルといった主バインダーへの添加剤として使用されている。プラスコートを添加することによりPET素材や金属への密着改良、さらには耐薬品性の向上が見られることから複数の樹脂をブレンドして独自の処方を開発されているユーザーへの販売が増加している。

表1 代表的な製品の被膜物性

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