【決算】2025年3月期・各社の決算状況
上場する主要塗料メーカーが2025年3月期通期決算を発表(集計12社)。集計企業の内、売上が対前年度比増加した企業は11社。利益(最終利益)の増益を達成した企業は5社であった。 こうしたなか、塗料販売価格の適正化を推進した価格改定により、売上の増加傾向がみられた。利益面では、引き続きの原材料価格やエネルギー費等高騰の影響から、実施した価格転嫁ほどは回収しきれず、半数を超える企業が前年度比減少となった。
分野別に見ると、建築分野で新築用は、主要顧客からの受注が回復せず減少傾向がみられた。一方でリフォーム用は集合住宅大規模改修工事等の工事関連が貢献し堅調に推移した。
自動車分野はEV市場拡大を背景に販売低迷の影響から自動車メーカーの生産台数が国内外で減少したことや、一部自動車メーカーの認証不正問題の影響から、生産停止や減産があり低調な推移となった。
工業用は、粉体塗料の各種部品メーカー向けや、電着塗料の建材向け出荷が好調。また、金属建材用途等の一部市況回復、加えて進めてきた価格是正が功を奏した等、プラス推移を見せた企業があった。ただし、需要家の業態により波のある結果となった。
船舶分野では、外航船向けの市況が好調であったことと、新造船および修繕船向けの需要が堅調であったことに加え、他と同様に製造コストに見合った販売価格の適正化等により好調に推移した。
次期見通しについて、物価上昇により消費マインド低下は続くことから、低調傾向からは完全に脱することができないものの、集計した12社の内、本業での業績見通しで売上、営業利益ともに増加したのは10社。米国政策の影響や原材料価格の高騰等を注視しつつ、回復に向かう見通しを立てている。
なお、日本塗料工業会が発表する2025年度需要予測では前年度比0・9%とほぼ前年度維持を予想している。