WEB塗料報知|塗料・塗装、コーティング業界のプラットフォーム

【決算】大日本塗料、利益面で大きく伸長

大日本塗料(里隆幸社長)は11月9日、2024年3月期第2四半期連結決算を発表した。同期の売上高は、前年同期比4・3%増の363億7100万円、営業利益は同53・1%増の27億1500万円、経常利益は同45・8%増の29億6100万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同47・8%増の19億5600万円となり、利益面で大きく伸長した。
 
セグメントごとの業績では、国内塗料事業は、一般用分野で市況が本格的な回復には至らなかったものの、高付加価値商品の拡販や前期に実施した価格是正により、売上高は前年同期を上回った。工業用分野も、新設住宅着工件数の減少により建材用塗料の需要が大きく減少した一方で、一部市況の回復や価格是正により売上高は前年同期を上回った。
 
同セグメントの売上高は、当期初に実施した粉体製造子会社の合弁解消に伴って売上高が約16億円減少したため、前年同期を下回ったが、利益面への影響は僅少であり営業利益は前年同期を大きく上回った。この結果、売上高は同0・3%減の259億3500万円、営業利益は同63・0%増の13億5200万円であった。
 
海外塗料事業は、東南アジア地域でタイおよびインドネシアでは自動車部品用塗料の需要が回復し、シンガポールおよびマレーシアでは外装建材用塗料の需要が増加したことで、売上高は前年同期より増加。メキシコも、自動車生産台数の回復により需要が増加し、売上高は前年同期を上回った。中国は、日系自動車メーカーの減産影響により販売が低迷したが、前年同期はロックダウンの影響による著しい需要減少があったため、売上高は前年同期より増加した。
 
同セグメントでは、需要の回復に加え円安の為替換算の影響により、売上高、営業利益ともに前年同期より増加。この結果、売上高は同19・7%増の42億3900万円、営業利益は同28・3%増の2億4200万円となった。
 
照明機器事業は、業務用LED照明分野でインバウンドの回復や首都圏再開発等を背景に商業施設向けや建築向けを中心に前期に引き続き需要が増加。UVランプ分野は、主に半導体関連市場向けに紫外線殺菌用途の需要が増加した。また、価格是正の進展で、セグメント全体の売上高と営業利益は前年同期を上回った。この結果、売上高は同19・7%増の46億7800万円、営業利益は同76・5%増の9億1400万円であった。
 
蛍光色材事業は、顔料分野でEU地域の経済停滞やファッション・文具業界での流行色の変化により需要が減少。加工品分野では、フィルム製品や蛍光関連部材の需要が増加した。この結果、売上高は同10・7%増の6億1700万円、営業利益は同55・6%減の1400万円となった。
 
その他事業では、物流事業が取扱量の減少により運送売上および保管売上が前年同期を下回ったが、塗装工事事業は市況が緩やかに回復し売上高は前年同期を上回った。この結果、売上高は同8・5%増の8億9900万円、営業利益は同28・9%減の4500万円であった。
 
国内では、新商品や新用途を現在、開発中とのことで、量の拡大を目指すという。一方、海外では中東情勢が展望しにくく、原材料高騰の懸念をしている。
 
なお、同社連結子会社が製造するJIS製品について、社内で定めた検査規格に係る検査値の改ざん等の不適切行為があり、特別調査委員会において現在調査を行っている。今後、当該製品の売上高減少等あるいは特別調査委員会の調査結果等により明らかになる事項によっては、同社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があるものの、現時点での影響額見積もりは困難であるため、2024年3月期の連結業績予想は据え置きとなる。