ロックペイント、新大阪 研修センター始動
ロックペイントは、今年7月に竣工した「大阪 研修センター」(自動車補修塗装)を、10月から本格的に稼働させた。新設された大阪研修センターは、研修者への配慮と最新鋭の設備が備わった研修拠点として生まれ変わり、近畿圏を中心とした研修ニーズに応える施設として注目されている。既に研修希望の問い合わせが相次いでおり、期待の高さがうかがえる。

運用を開始した「大阪 研修センター」の外観

建物の内観、1階は塗装ブース2基、調色室、プレパレーションルームで構成
建物は、RC構造の2階建てで、本社事務棟やR&Dセンターとデザインを統一している。内装は化粧コンクリート仕上げで、1階中央部には開放的な吹き抜け構造を採用。2階から研修風景を見渡すことができる。2階には座学用の講義室と木材調のラウンジが設けられており、バルコニーも併設されている。受講者が快適に過ごせる空間設計がなされており、研修に集中できる環境が整えられている。設備面では、近年の水性塗料導入の流れを踏まえ、最新鋭の機器を導入した。施設1階は主に4部屋で構成されており、2基の塗装ブース、下地処理を行うプレパレーションブース、および調色室である。

座学用の講義室

木材調のラウンジ
特筆すべきは、ガス式乾燥と赤外線(IR)式乾燥を1台で対応可能なハイブリッドブースを採用した点である。このブースでは、顧客の乾燥設備を再現しつつ、両方式の違いも体感できる設計となっている。近年、ユーザー側でも生産性向上を図るため、乾燥ブース等の設備更新が進む。
一方で、従来設備のままで水性塗料を採用したいというニーズもあり、幅広い要望に応えることができる研修センターを検討した結果、ハイブリッド型のブースを採用したという。研修センターでは、こうした最新設備を実際に試すことで同社水性ベースコート「ネオ ウォーターベース」等の導入を後押しできる。研修センターインストラクター担当者は、「設備も充実してはおりますが、当社の水性塗料自体の作業性もぜひ体感しに来てほしい」と、溶剤塗料と同様な塗装感覚が体感できる。

ガス式とIR式が可能な塗装ブース

さまざまなニーズに対応するためIR式も導入
新研修センターの特徴に、隣接するR&Dセンターとの連携がある。これまで離れていた研究開発部門と研修センターが同敷地内となったことで、難易度の高い新塗色の検証や調整を迅速に行うことが可能となった。開発と実証のスピードアップも期待され、現場での課題を即座にフィードバックし、開発に反映できる体制は、製品品質の向上にも直結する。
大阪研修センターでは、訪れることが「楽しく」なる一工夫もある。「ROCK AUTO COLOR GALLERY」は、1950年代半ばから現在までの自動車の塗色を、同社の視点で選定した「ボディーカラー」として展示している。展示パネルにはQRコードが設けられており、読み込むことで車種や塗色にまつわるトピックスやヒストリーを閲覧でき、特別感のある空間である。

1950年代半ばから現在までの自動車の塗色を展示する「ROCK AUTO COLOR GALLERY」

歴代話題となったボディーカラーを展示、QRコードで車種や色のストーリーが閲覧できる
ギャラリーを訪れることで、研修者は塗装の仕上がりが車両の印象を左右する重要な工程であることを再認識できる。色彩の繊細な違いや光の反射による表情の変化を目の当たりにすることで、塗装作業への意識が高まる契機となるだろう。

モニターでも塗色を紹介
ロックペイントは、国内塗料メーカー最多の全国6拠点による研修センター体制で、各種塗料や塗装に関する技能研修を行っている。1974年(昭和49年)7月に「第一回 ロック自動車補修塗装研修セミナー」を開講してから半世紀。今日まで延べ4万人以上のスプレーマンを育成してきた。取材に応じた車両塗料営業部の宮武敏和氏は、「創業時から人の育成、技術の研修には力を入れています」と語り、「大型車両が入庫できるスペースもあるので、今後はそうした車両の研修も行っていきたい」とし、ニーズに合わせた研修を通じて、センターの活用の幅が一層広がりそうだ。
