菊水化学工業とフジタ、脱炭素素材の室内用塗料
菊水化学工業とフジタは、脱炭素素材を用いた室内用塗料「ジオアース300Fクリーン」を共同開発し、7月に発売を予定している。製造工程から環境負荷の低減に配慮するとともに、優れた消臭性能と防カビ性能を兼ね備えた画期的な高機能塗料である。
本製品は、従来の水性エマルション塗料と比較して、1㎡あたりの原料由来CO2排出量を約50%削減。主原料には産業副産物であるフライアッシュや高炉スラグを再利用しており、循環型社会への貢献も期待されている。
開発の背景には、建設業界における建材の脱炭素化ニーズの高まりと、住空間における消臭・防カビ対策の重要性がある。密閉性の高い現代建築では、アンモニアをはじめとする生活臭がこもりやすく、カビの発生も深刻な問題となっている。
「ジオアース300Fクリーン」は、アンモニアガス吸着試験において、他社の消臭塗料と比べて10倍以上の消臭効果を実証。また、塗料自体の臭気も従来品より10分の1以下という低臭性を誇る。さらに、防カビ試験や抗ウイルス試験では、99・9%のウイルス不活化を確認するなど、衛生面でも高い効果を示している。
新築だけでなく、リフォーム用途にも対応し、水性エマルションペイントやビニールクロス、コンクリート仕上げなどの上からも施工が可能。専用下塗材を併用することで、凹凸のある重厚な仕上がりとさらなる消臭効果を実現できる。
活用が期待される用途は幅広く、住宅や高層マンション、医療・福祉施設、物流施設、ホテル、空き家改修など多岐にわたる。とくに臭気や湿気がこもりやすい空間において、環境配慮と快適性を両立する内装材として注目を集めそうだ。