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【万博】未来の食と農を披露

2025.06.17

観光経済新聞、東京交通新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの専門5紙誌は2025年度の連携企画第1弾として、4月13日に開幕した「大阪・関西万博」をテーマに取り上げた。各紙誌が見た万博、各業界の万博関連の動きをリポートする。

食の生産者と消費者を近づける

世界の最新の技術や文化が一堂に会する大阪・関西万博。その会場で、「未来の食と農」を発信しているのが、「未来の都市」パビリオン。クボタが担当しているエリアだ。同社エリアは全幅20mを超える天幕スクリーンと巨大LEDモニターが一体となった空間で、ダイナミックに自然と農業、豊かな食を演出。そこを舞台にSociety5・0の世界における〝食と農業〟の姿を表現した。
 
それを実現するキーテクノロジーとして、会場では汎用プラットフォームロボットを披露。多くの来館者が関心を示し、「これがトラクタなの?」と斬新なフォルムに驚きを隠せない人も。同機はトランスフォーム(変形)と汎用性が大きな特長で農業だけでなく、土木、建設、災害現場でも活躍できる完全無人機で、そのコンセプトの説明を受けると、「それでは農家さんは何をするのか」と農業に対するイメージが覆された様子。
 
中央のエリアで展開されたのは、未来の農業経営が体験できるシュミレーションゲーム「PLANET KEEPERS」。9人のプレイヤーがそれぞれの観点から〝プラネタリーコンシャスな農業〟を目指すもので、様々な選択肢の中から作物や、経営の手法、販売先、最新農業技術、連携パートナーなどを選び、未来に持続していく農業の形を探る。選択肢の中には環境への配慮や売り先を決めた生産活動、インフルエンサーとコラボしたプローモーションなど、新しい生産者像が投影されている。その中で提供される農業技術には、汎用プラットフォームロボットを使った群制御システムや育みロボット、土壌発電システムなどがあり、未来のテクノロジーが農業の可能性を広げる。
 
ゲームを体験した来館者は「農業経営は作物を作るだけでなく、様々なことを考えなければならないことが実感できた。農業のことを考えてみたいと思った」との感想。スペインのマドリッドから来た男性は「これまで農業との関わりはなく、ここで農業の未来に触れ、様々な選択肢を知った」との言葉。その後、様々な方法で農業とのかかわり方を提案するコーナーに関心を向けていた。
 
同社の運営責任者の関根さんは「食と農に興味を持っていただき、〝いのち〟の輝きをそして未来を改めて考えていただきたい」と狙いを述べた。同館には学校行事として来館している学生も多く、そこから広がる可能性も少なくないはずだ。
 
もう1点、万博会場において、農林業分野で注目を集めたのが、6月8日から15日まで開催された農水省のテーマウィーク出展だ。6月5日から16日まで「食と暮らしのウィーク」と題し行われたテーマウィークの一環として、EXPOメッセ「WASSE」イベントホールで開催された。(農村ニュース)

農水省の出展では約1200㎞離れたトラクターを遠隔で動かす体験も

 
今回のブースのテーマは「RELAY THE FOOD~未来につなぐ食と風土~」と設定。これは「我々消費者は普段食べている食事を当たり前のものと思っているが、そこに警鐘を鳴らし、気付きを持って頂き、当たり前ではないこと、我々一人ひとりの努力でつなげていく」(クリエイティブを担当したワントゥーテン澤邊芳昭社長)という思いで付けたという。
 
会場は、「伝統をつなぐ」「多様性をつなぐ」「未来へつなぐ」の3つのエリア、合計18のブースに分け、「伝統」エリアでは、棚田や農業遺産などを、「多様性」エリアではお茶やいぐさ、ジビエなど多様な産物を、「未来」エリアでは、スマート農業技術などを紹介した。
 
「未来」エリアでは、北海道大学がロボットトラクタの遠隔監視・操縦を披露。NTTグループの次世代ネットワーク「IOWN APN(アイオン オールフォトニクス・ネットワーク)」を用い万博会場と約1200㎞離れた北海道大学スマート農業教育センターのほ場を遅延なくつなぎ(北海道現地の様子をモニターで表示)、遠隔で操作。来場者も体験可能となっており、自らの運転で北海道のトラクタが動く様子に驚きの声があがっていた。この他にも会場は体験型の展示が多く用意され、生産者と消費者を近づける展示となっていた。