日本工塗装連、神奈川で総会&全国大会
日本工業塗装協同組合連合会(髙𣘺正会長)の総会および全国大会が、9月13日に神奈川県横浜市で開催され、ホスト役を神奈川県工業塗装協同組合が務める。そこで同組合の強みや人材育成、県下の業況、全国大会への意気込みを石川政男理事長に聞いた。

神奈川県工業塗装協同組合・石川政男理事長
―神奈川県工業塗装協同組合の特徴は。
人材育成には伝統的に力を入れている組合である。直近も技能検定国家試験(金属・噴霧塗装)を7月7日に開催した。また、現行の外国人技能実習制度における基礎級、3級、2級の検定を組合全体で受託している。個社で対応している他組合もあるようだが、神奈川は組合全体で行っており、技術支援に力を入れている表れだ。
―外国人の検定はどのようにされるのですか。
日本人の検定と違い、各企業に出張して行う。外国人の検定は月間平均で6回程度だ。原則3人の検定員を派遣しているため、組合にも負担がかかる。だが、モノづくりの現場は外国人の就労がないと成り立たない。外国人を育てていくという面では業界の使命だと思っている。
人材育成は、日本人技術者を育てるというのが基本にあってこそだ。外国人を指導する日本人を育て上げることに継続して力を入れていきたい。
―神奈川では技能コンクールも盛んです。
技能コンクールの一環である「神奈川工業塗装まつり」は、組合員とその従業員の塗装技能の研鑽とレベルアップ、勤務意欲の向上と人材育成を目的として開催しており、技術者を長年育ててきた。コンクールの作品は、百貨店や県庁等で一般の方々にも披露する場を設けており、工業塗装をPRする良い機会になっている。
また、先の外国人材においては、特別賞などを設けて技術の成果が認められる場を創出してきた。近年は、外国人技術者が特別賞という枠ではなく日本人技術者と同じ土俵の中で優秀賞に輝いており、外国人の技術支援の成果を感じている。全国大会では、優秀賞の作品や当組合のマイスターの作品も展示する予定だ。
―話は変わりますが、神奈川県下の工業塗装の業況はいかがですか。
昨年や春先に比べ徐々に忙しくなりつつあると聞く。愛知ほどの大手メーカーからの仕事があるわけではなく、会員企業の規模も決して大きくはないが、仕事の量は回復している。しかし人材不足で仕事量に対応できない例もあり、社長自ら現場に立つ組合員もおり忙しい。
現状の懸念材料として、エネルギー価格や材料価格の高騰でコストが上昇しているが、顧客への価格転嫁が全体的に進んでいない点がある。各個社の対応になっているため各社で事情が異なり、利益を圧迫している。
―今後の組合に必要なことは。
行政との繋がりに重要性を感じており、今後も力を入れていきたい。外国人就労で言えば製造業分野の特定技能制度について、令和5年度までの制度では「金属製品塗装業」が入っていなかった。鍍金の業種は含まれていることから、行政との繋がりを強固にすることが塗装業の課題だと感じていた。
この問題は、日本工塗連が理事会で取り上げ「金属製品塗装業」を特定技能制度に組み入れる活動の必要性が決議された。その後、髙??会長をはじめ日本工塗連が経産省と折衝し、その成果が実り3月29日の閣議決定で、金属製品塗装業も入ることとなった。開始時期は秋口になるが、本件は昨年7月から活動し、今年3月に閣議決定されたことを考えると、スピード感を持って取り組めた成功事例である。この件から、業界の環境を変えるためには、行政とのパイプが重要であると強く感じた。その点からも行政との繋がりを深めるため、全国大会では前デジタル大臣で衆議院議員の牧島かれん氏に記念講演をお願いした。演題を「デジタル、AI、人間の技」とし、是非当日は楽しみにしていてほしい。
―全国大会の成功をお祈り申し上げます。本日はありがとうございました。