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戸田工業、首里城復元に新顔料開発

戸田工業は、沖縄美ら島財団総合研究所との共同研究により、2019年に焼失した首里城の外装であるベンガラ色を共同で開発し、復元中の正殿の塗装に採用されることが決定したと、9月1日に発表した。 

首里城正殿(左)、開発した顔料「TODA COLOR 首里PIG-1」(右)

 
首里城正殿には、沖縄本島北部の水辺に存在する鉄バクテリアに由来する天然のベンガラが用いられていた可能性が高く、色の再現で研究を行っていた。今回、戸田工業では天然酸化鉄を用いた古来の着色材料であるベンガラ色を工業的な製法により「TODA COLOR 首里PIG-1」として開発。塗料化する際には、天然のベンガラの色彩を安定させるため、開発品を混ぜて使用することになる。
 
ベンガラは酸化鉄を主成分とする天然由来の赤色顔料で、琉球王国時代から首里城の建築に用いられてきた。今回のプロジェクトでは、戸田工業が長年培ってきた微粒子設計技術と分散技術を活用し再現を試みた。
 
首里城は沖縄の歴史と文化を象徴する建築物であり、その復元には高度な技術が必要とされる。戸田工業では、「微粒子の可能性を世界の可能性に変えていく」という企業理念を発信しており、今後も社会課題の解決に資する材料開発を推進していく方針である。