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マツダ、塗膜耐食評価事業を検証

マツダは10月8日、「塗膜耐食性評価サービス」の事業化に向けた、本格的な事業性検証を実施すると発表した。自動車開発の技術などをもとに、塗装の技術・材料開発における環境負荷の低減、社会インフラの効率的な維持管理や長寿命化を通じた社会課題解決への貢献を目指す。他業界への展開を視野に11月12日から幕張メッセで開催される「第8回塗料・塗装設備展‐COATING JAPAN‐」への出展を予定している。 

同社では、昨年9月に新規事業開発室を設立。2030年以降を見据え、収益源の多角化による外部環境変化への耐性を高めるため、自動車の製造・販売に限定しない新たな事業を継続的に開発できる体制を構築した。その中で、自動車開発で培った経験・ノウハウ・技術を資産として、塗膜耐食性評価技術を公開したものである。

塗膜耐食性評価ベース技術の特徴

 
従来、塗装部品に対する防錆性能の測定は、専用試験機の中で数カ月と長期間にわたり錆を発生させ、目視で劣化状況を評価する方法が一般的であった。同社は、2017年に短時間かつその場で塗装部品の防錆性能を評価できる評価法を実用化。塗膜の耐食性を数分から数十分間で、定量的に評価できる、持ち運び可能な測定器を開発した。これにより、試験期間の長さ、目視による基準のばらつき、実環境下での測定の難しさといった従来の課題を解決できるという。
 
測定器は大きさが350×260×100㎜、重さが約3㎏と軽量コンパクトで、バッテリ駆動ができ屋外での使用も想定している。
 
同社では、国内の塗装腐食対策費を年間2兆4900億円、グローバルでの腐食試験サービス市場を年間6776億円と見込んでいる。この技術を評価事業として他業界に展開することで、塗装の技術・材料開発における環境負荷の低減、社会インフラの効率的な維持管理や長寿命化に貢献するとのこと。例えば、塗料・塗装部品開発においては、塗料の試作、再試験回数の削減により、原材料やエネルギー使用量の減少を確認している。
 
また、橋梁や鉄塔などの社会インフラ分野においては、現在、塗膜の劣化状態が不明のまま、一定の期間が経ったら保全を実施する手法が広く行われている。これを塗膜の状態が確認でき、適切なタイミングでの保全を実施できるようになると期待する。
 
需要分野としては、塗料選定、塗装製品の品質管理、実暴露試験、インフラ・プラント保全などを見込んでいる。
 
現在、同社は事業化に向けて、協力企業から提供を受けたサンプルを独自の診断技術で評価。その結果を報告書として納品する受託型サービスの事業性検証を行っている。ここでの評価を分析の上、2026年に同サービスを事業化する。さらに、ニーズの増加により、将来的にはクラウドを活用したSaaS型サービスの提供を目指す。
 
なお、現在、有償トライアル先を募集している。概要は次の通り。
▽対象=塗料メーカー、塗装製品メーカー(鋼板メーカー、建機メーカー等)、インフラ保全メーカーなど▽募集枠=限定5社▽募集締切=12月末まで▽費用=有償(詳細は問い合わせのこと)▽参加メリット=正式サービスでは有料オプションとなる技術サポート(分析結果への考察や追加検証の提案など)をトライアル期間中は無償で提供。
 
問い合わせ、応募はhttps://newbiz.mazda.com/coating/formまで。