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塗料に最適化したEFDS乾燥装置 名神が国内販売強化へ

遠赤外線放射波を通じ塗膜に直接作用して乾燥

名神(大阪・足立年彦社長)は、温室効果ガス削減に貢献できる乾燥装置「EFD(EcoFriendlyDry)System」の国内販売を強化する。同製品は韓国の新興企業であるAISO社が開発した塗料に最適化したARD(遠赤外線放射波発生装置)を使用している乾燥装置であり、日本国内ではTGグループ(トガシコート)(愛知・冨樫俊男社長)が設計施工を担う。

EFD System


既に日本国内での販売実績もあるが、韓国内では財閥系大手製造業者から中小企業まで幅広く導入が進んでいる。また、環境意識の高い欧州でも導入実績がある。ガス熱風循環乾燥設備がガスを燃焼させ、炉内熱風循環により空気、被塗物を温度上昇させて塗膜を乾燥させるのに対し、同システムのARDは、電気エネルギーを赤外線放射に変換させ、輻射波を通じ塗膜に直接作用して乾燥。ARDは自己分子と類似した波長帯の電子波に接触すると共振現象を起こし、熱エネルギーを発生するという原理となっている。

採用されているヒーターは、AISO社が開発した産業用ヒーターで、一般的なヒーターの分類には含まれず、国内でのPSE電気用品安全法の特定電気用品(116品目)、特定電気用品以外の電気用品(341品目)にも含まれない。ARDの電気波長は3~5μmで、ヒーターからのCO₂発生はない。

ARD稼働時はヒーター表面部が加圧状態となり、塗料や異物などが付着しない安全構造。ガス乾燥炉が屋外排気ダクトを必要とするのに対しダクトが不要であることに加え、炉体構造は平型炉でコンパクトに設置でき、さらに循環機能やフィルターが付属していないため、ダクトレス・ダストフリー・メンテナンスフリーを実現している。

EFD Systemの内部

国内で設計・施工を担うTGグループ(トガシコート)は、約2年にわたり実機として運用しているが、未だにヤニの発生がほぼないため、メンテナンスが容易なだけではなく、設備が長持ちすることも特徴としてあげられる。VOCの分解作用により悪臭が少なく工場内や周辺への環境対策が達成できるだけでなく、装置周辺の温度上昇も抑えられるため、職場環境の改善にも貢献する。ガスを使用していないので被塗物の色差がほとんど生じないこともポイントであるという。

新設だけでなく、従来の乾燥炉を改造することもできるので、既存設備を有効活用してイニシャルコストを抑え、エネルギーランニングコストも削減できるとのことだ。

名神の足立社長は、「今後CO₂の削減、環境対策、労働環境の改善に資する機器として全国の企業へ提案していきたい」と語る。これにより、持続可能な社会の実現に向けたカーボンニュートラルの推進に貢献していく考えだ。

名神HP:https://www.meisin.com