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塗料メーカー、価格改定相次ぐ

各塗料メーカーによる価格改定の発表が相次いでいる。メーカー発表を見ると、改定幅が昨年より高い品目もあり、最終製品価格に大きく影響しそうだ。各塗料メーカーからの公式コメントでは、「企業努力の限界をはるかに超える」としており、異常な状況だとうかがえる。中小メーカーが公式に価格改定の発表を行うのは珍しく、今回の原材料価格がこれまでにない状況だと理解できる。また、物流コストの上昇が続き、塗料メーカーからの配送運賃についても、改定を発表している。
   
原油、ナフサ市況では価格の急激な高騰が昨年から続いている。1月の国産ナフサ価格では、前年比56・1%増の6万595円(財務省貿易統計)。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、2月以降の直近数字も高くなってきそうだ。川上の石化メーカーでも石油価格の上昇が予想以上にピッチが速く、化学品の基礎材料を製造するにも収支割れとなるケースが発生してきている。一方で、海外産のナフサの輸入が滞る状況も現われ始めていると聞く。

原油・ナフサ価格の影響により、樹脂、溶剤、硬化剤等、全面高となっている。例えば、酸化チタンは鉱石価格の上昇や物流の混乱で需給バランスが崩れ一段と上昇した。工場での燃料高騰も加わり、酸化チタン最大手の石原産業では、2022年1月1日から昨年6月に続き価格改定を行っている(40円/kg)。

一方で、最終製品ユーザーも塗料種の変更が余儀なくされる例もある。建築資材の金属サイディング製品は、工場ラインの塗装にフッ素樹脂塗料を採用している。今回、フッ素樹脂の供給が停滞したことで、フッ素樹脂塗料からポリエステル系塗料に代替などを行う例が見られた。

昨年から続く原料高の背景には、原油価格の上昇に加え、コロナ禍からの需要回復、天候不順、プラント災害等の複数要因によるもので、新しく地政学リスクも加わった。塗料は、原材料費の割合が高く、塗料原料の代替原料への塗料再設計には時間を要する。こうしたことにより、原油・ナフサ価格に追従し、価格改定をせざるを得なくなる。今後も予断を許さない状況が続く。