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【決算】日本ペイントHD2022年12月期通期 、2桁の増収増益達成

日本ペイントホールディングス(若月雄一郎社長、ウィー・シューキム社長)は2月14日、2022年12月期通期決算を発表した。

欧州塗料メーカー2社の子会社化、円安の影響、中国での汎用塗料製品値上げなどの結果、売上収益は前年同期比31・1%増の1兆3090億2100万円、営業利益は同27・7%増の1118億8200万円、税引前利益は同20・9%増の1044億9500万円、当期利益は同16・6%増の794億5200万円、親会社株主の所有者に帰属する当期利益は同17・5%増の794億1800万円と、いずれも前年比2桁の増加率を達成した。
 
セグメント別の業績では、日本は自動車用塗料の売上収益は前期並みだが、工業用塗料、汎用塗料とも製品値上げが奏効し、売上収益は前期を上回った。これにより、売上収益は前年比6・9%増の1860億6200万円、営業利益は原材料価格の上昇により、同44・5%減の52億9600万円となった。

Nipsea(アジア)は、自動車用塗料、汎用塗料のいずれも売上収益は前期を上回って同24・0%増の7085億1500万円、営業利益は同5・6%増の726億9500万円であった。

DuluxGroup(オセアニア)は、汎用塗料はオセアニアおよび欧州での製品値上げ、塗料周辺事業はオセアニアでの製品値上げが奏効したことに加え、欧州での断熱材販売が好調で、売上収益は同78・7%増の3149億200万円、営業利益は同55・8%増の296億7300万円となった。

米州は、自動車用塗料、汎用塗料ともに前期の売上収益を上回って、同30・3%増の995億4千万円、営業利益は同124・3%増の80億7700万円であった。
 
次期(2023年12月期)の業績予想について、売上収益は同7・0%増の1兆4千億円、営業利益は同25・1%増の1400億円、税引前利益は同28・2%増の1340億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同23・4%増の980億円を見込んでいる。
 
2023年の通期予想において、事業進化をより適切に反映するため、中国の汎用内訳を販売チャネル別に「TUC(Trade Use Consumer)」と「TUB(Trade Use Business)」に変更する。TUCはBtoCビジネスで消費者向け事業やDIY事業、代理店・販売店経由の売上げ、Eコマースなどに、TUBはBtoBビジネスでプロジェクト顧客や主要建設会社の取引などになる。
 
海外では、連結子会社のDuluxGroup社が、イタリアで密封剤や接着剤などを扱うNPT社の株式51%を取得。NPT社の強力なブランドや高い技術力、幅広い流通網などと、接着剤・密封剤などの塗料周辺ブランドの知見活用を通じて、欧州塗料周辺市場での地盤構築を進めるとともに、より広範な成長機会の創出を進めるとする。
 
Nipsea中国では、中国ブランド指数(C‐NPS)の壁面塗料部門・木工用塗料部門において5度目の第1位を取得するなど複数の賞を受けている。継続的な受賞は顧客や消費者からの信頼の証しとし、今後も価値を提供するブランドとして製品やサービスの改良を継続していく。
 
国内では、自動車用塗料(上塗り、水性中塗り、プラスチック用など)を生産する岡山工場(岡山県勝央町)が2023年2月に竣工。生産性や安全性のさらなる向上と、生産プロセスにおける省エネルギー・低炭素への対応に向けて、ESGに配慮した工場経営を志向している。本格稼働は2023年秋頃を予定。
 
ガバナンス関連のWEB企画として、投資家の意見や質問に回答する「独立社外取締役への質問(一問一答)」や、同社の強みや課題を分析して少数株主利益の保護やMSV実現に向けた考えを紹介する「独立社外取締役の視点」の連載を開始した。