オートサービスショー2025、事前チェック!注目ブース
自補修分野の進化がスゴイ!足を運ぶ必要がある理由
「第38回オートサービスショー2025」が6月19日から3日間、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開催される。今回の展示会テーマを「次世代モビリティと共に歩む整備機器」とし、自動車整備に関係するさまざまな企業・団体が出展。塗料メーカーでは、アクサルタコーティングシステムズ、イサム塗料、関西ペイント、日本ペイント、ロックペイント等が出展する。
自動車板金工場に対する塗料メーカーからの提案幅が増えている。塗料製品に加え、測色機をはじめとする機器関連や、生産性を向上させるために開発した副資材、はたまた人材育成プログラム等、もはや板金工場のコンサルティング業務を担うというほどだ。さらには、動画コンテンツを用いてユーザーへ直接アプローチする販促活動も盛んであり、構造的な市場減退を跳ね返す姿勢が頼もしくもある。自動車補修塗料の分野は、塗料需要全体に占める割合が2・3%~2・5%と、マーケットは決して大きくない。加えて、先進安全技術の普及等によって事故発生件数が減少し、補修用塗料の需要は、微減の状況が続いている。
しかし、この分野での製品・サービスは毎年のように変化がある。ユーザーとなる板金工場では、需要の減少よりも担い手不足の影響で生産性が課題となっている。修理需要の減少スピードよりも人員不足の進行が上回り、現場の仕事量はタイトな状況にある。また、近年は自動車外板色のバリエーションが広がり、補修塗装の難易度が上がっている。
自補修塗料を製造・販売するメーカーは、こうした課題に真正面から取り組み、測色機による調色工程の短縮化や新製品上市のサイクルを早めている。例えば、常温乾燥性に優れたポリウレアクリヤーは、近年生まれた商品である。
働く環境改善には、水性ベースコート採用が増加傾向にあり、開発はさらに進み、プラサフ、クリヤーの水性製品がラインアップされている。ベースコートを2ブランド展開するメーカーも登場し、ユーザーの選択肢が広がっている。
ある塗料メーカーは「水性塗料の技術は、以前は建築の方が高かったが、現在は自動車補修の方が進んでいる」と言う。各メーカーは、将来の需要減少は折り込み、動画コンテンツによる囲い込みや、乗用車以外の架装市場への横展開も見られる。自動車補修分野における、同分野のメーカーの市場対応は、他の市場戦略について参考となることが多いと言える。
今回、同展に出展する2社の担当者取材を実施。製品やサービスを開催直前に紹介する。来場前の事前リサーチにぜひ役立ててほしい。なお、同展の来場には、事前登録が必要。
ロックペイント、塗装動画コンテンツ拡充へ 難易度塗色ポイント解説
ロックペイントの車両分野は、昨年度比で売上が増加。「数量もそこまで落ちておらず、東京地区などでは架装分野が伸びている」と、同社・車両塗料営業部部長の髙野弘行氏は語る。この勢いをさらに加速させるべく、6月19日から始まるオートサービスショーでは、情報・作業支援アプリ「ROCK Pocket Navi(ロックポケットナビ)」ほか、環境対応型塗料製品を中心に多くの来場者へPRしていく。
登録者数が伸長するロックポケットナビは、車両用製品が品種別に整理され、キーワードでの検索が便利。カタログやテクニカルシート(TDS)ともリンクしており、硬化剤配合条件もアプリから確認できる。なお、アプリは無料でダウンロードが可能。現在、塗装動画コンテンツを拡充しており、「マツダ46G」のような難易度の高い塗色の動画を継続的にアップしていく方針だ。難しい塗色も動画によりポイントを説明することで、経験が少ない若手スプレーマンでもコツが分かる。

ロックポケットナビでシンナー希釈、硬化剤の配合を確認できる
オートサービスショーでは、年々採用が増えている水性製品も訴求する。ロックペイントの水性塗料は、既存の溶剤塗料と近い塗装感覚で塗装できることが売りだ。日本の気候条件に合うように、常温下でのエアーブロー乾燥でも塗装が行えるように開発されている。塗りやすさでは、タッチアップ塗装のボカシ際のスプレーミストに着目し、「ミストがつぶれてなじみやすさ」を追求した。
なお、クリヤー、プラサフも水性製品を上市しており、オール水性にも対応。また、近年採用車種が増えているトヨタ自動車の耐擦傷性を有する水性クリヤーに対しても「ロック ハイドロクリヤーAS」を上市し、水性ラインアップを広げた。水性塗料について、「他社からの切り替えも含め、水性塗料の採用は確実に増えてきている。今期も続けて水性塗料の拡販を強化している」(同)と話す。
オートサービスショーでは、架装市場向けの製品も提案する。新製品では、大型車両向けのトップクリヤー「ハイロックエコ プログロスクリヤー」を訴求。シリーズ最高の仕上がり外観品質を目指した製品で、大面積塗装に適する。真夏の高い温度帯域での塗装条件にも適応し、均一性の高い塗装肌が得られる。架装市場は同社で伸長している分野で、今後も製品展開を増やす構えだ。
ロックペイントはユーザーの人材育成にも力を入れており、研修センターは、国内メーカー最大数の6拠点。そして7月には、これまでの「近畿 研修センター(宝塚工場内)」を、大阪本社内に移設し、新しく生まれ変わる。座学と塗装研修が最新の設備で行える。
【オートサービスショーブース:東2ホール No.218】
アクサルタコーティングシステムズ、調色を最新技術で支援 時間短縮、廃棄量を削減
オートサービスショーのアクサルタブースでは、多角型分光測色機「Axalta Irus Scan(アクサルタ・アイラス・スキャン)」の簡易プレゼンテーションを実施する予定だ。新型測色機に触れ、先端技術を感じることができる。
同測色機は、既存製品の3角度測定から4角度測定になったことで、測色精度が向上。特にメタリック、パール色の精度アップ、艶消し色の測色もできるようになった。加えて、測色する作業者へのアシスタントシステムを追加。カメラ精度が上がっても、人が正しく測れていなければ、測色精度に差が出てしまう。こうした課題に、新測色機では人の測色結果を表示するライブビューイング機能を装備し、ヒューマンエラーを防ぐ。

上市されたばかりの「Axalta Irus Scan(アクサルタ・アイラス・スキャン)」
販売の状況について同社は「2月の発表の後、引き合いが多くなっている。水性塗料とセットで測色機の導入検討の話が多い」(同社自動車補修用塗料部 営業統括部長)とのことで、反応は上々のようだ。また、「新型機種であるが価格でも他メーカーと比べて競争力がある」(同)と語る。新測色機に加え、国内の市場展開を待つ「アクサルタ・アイラス・ミックス」(調合)の展開や、検索精度を上げるソフトウェアのバージョンアップも予定している。調色工程をトータルで支援していく方針だ。
作業時間短縮という面では、関連資材のブランドである「オーデュラ」から、ディスポーザブルペインティングシステム(DPS)のラインアップを拡充し、オートサービスショーで出品する。昨年12月に650mlを発売したが、今年5月より3サイズ(850ml、400ml、180ml)の容量を追加。スプレーガンにアダプターを取り付け、DPSを装着することで、調合、ろ過、保存、塗装作業が1つのカップで効率的に行える。付属品を7割削減し、使い捨ての内カップ(ライナー)を使用することで、洗浄にかかる時間を節約できる。

「DPS」のラインアップを拡充
塗料製品では「クロマックス」「スタンドックス」の両ブランドで水性システムや特化則対応製品のラインアップでPRしていく。同社の水性塗料ベースコートは、国内はもちろんのこと、グローバルで実績が高く、韓国では、地場メーカーの塗料を抑えてシェアがトップになった。日本と同じような四季がある国でも製品品質が評価された。
フル水性システムについては、「クリヤー、サーフェサーの水性を揃えているが、生産性重視であれば環境性と生産性のバランスで製品提案していく」(同)との方針で営業展開する。なお、昨年からシンナーや硬化剤を一部国産化しており、国産化製品を増やしていく予定だ。製品の供給を安定化させ、特化則フリー製品の幅を増やす。
【オートサービスショーブース:東2ホール No.229】