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【インタビュー】BAN-ZI 宮原万治社長

BAN-ZI 代表取締役社長 宮原万治氏

千葉市を拠点に、建築から工業まで市場を網羅する特殊塗料メーカーのBAN‐ZI(バンジ)。〝サビ止め〟を強みとし水性・環境配慮型の製品を主軸に、建築・インフラ・船舶まで幅広く展開している。そのブランド力強化と製品開発への思いを軸に、宮原万治社長が語る〝ブランディング戦略〟と〝今後の展望〟に迫った。

資産価値を守る

―「BAN‐ZI」ブランドが目指すビジョンについてお聞かせください。

 当社はまだ小さなメーカーですが「BAN‐ZI」というブランドを確立し、大手企業の領域にも挑戦していきます。背景には、ブランディングの意味を強く意識し、製品力に自信を持ち、不撓不屈の精神で市場に挑む姿勢があります。

―社会的役割についてはいかでしょうか。

目的は、建物や設備の資産価値を守り、長寿命化を実現することです。サビ止め分野では、多くの製品が無名で、明確な戦略を持つ企業は少数です。当社は「サビキラー」をはじめ、鉄はサビるという特性や素地を守る製品として覚えてもらいやすいブランド名を与え、安心して選ばれることを重視しています。

―貴社の製品ラインアップで、特に重視されている分野や技術は何ですか。

「サビキラー」や「ケレンパス」など、防錆と作業効率を両立する製品を中心に展開しています。建築分野でのスタートを活かし、現場経験に基づく提案力は大きな強みです。サビ除去は過酷な重労働であり、現場の負担軽減も大きなテーマです。―サビ除去作業の軽減は、大きなメリットですね。ブラスト処理後の戻りサビや、構造的に完全除去が難しい箇所にも対応できる製品は、結果として工期短縮やコスト削減につながります。こうした実用性と耐久性を両立する技術を、今後も磨いていきます。

―気候変動やエネルギー課題における期待はいかがでしょうか。

 近年は気温上昇や紫外線量の増加により、屋外塗装の劣化スピードが早まっています。当社では資産価値を守るべく、紫外線に強い塗料「クールアース」を開発しました。夏の暑さと冬の寒さに耐える遮熱性能と耐久性を備え、10年保証を付けています。さらに、工場地帯や沿岸部など厳しい環境にも対応できる耐薬品性・耐塩害性も備え、エネルギーコスト削減や快適な作業環境づくりにも貢献します。

お客様の声から新製品を

―『塗料報知』を通じて届けたい現場は。

特にクールアースは、工場や倉庫など、大型屋根や外壁を持つ現場を中心に、住宅やマンションの屋根・壁、防水や遮熱、西日や騒音対策にも対応できる製品として幅広く活用できます。最近は、「多少高くても長持ちする製品を使いたい」という施主様の意識が広がっており、北九州で採用されたお客様が大阪の本社や北海道の拠点へと展開するケースも出ています。

―顧客もコストより品質重視に変化していますね。

暑さ対策や電気代節約にもつながるソリューションとして、塗料業界だけでなく、異業種展示会や地域ネットワークを通じて情報を届け、現場を直接支える関係を築きたいと考えています。

―今後の展望と塗料・塗装業界へ向けてメッセージをお願いします。

労働力不足や環境変化という課題がある中で、我々塗料業界にはまだ多くの可能性があります。漆塗りから新しい技術へと進化させてきたように、お客様の声から新しい製品を生み出していくことが重要です。

当社では、デジタルツールを活用し、AIによる業務効率化や動画での分かりやすい情報提供にも挑戦しています。10月8・9日に札幌市で開催される「北海道建設開発総合展」にも出展し、寒冷地の課題に対応した製品をご紹介します。業界全体が古いイメージを脱し、若い人材や異業種ともつながりながら進化していく中で、BAN‐ZIも現場とともに成長し、資産を守り続ける製品とサービスを提供していきます。

―ありがとうございました。

宮原万治社長:趣味:バイク  座右の銘:不撓不屈  好きな色:青空の青