ローバル、新ジンクリッチペイント
ローバルは、水性でありながら混合作業が不要な「1液型水性有機系ジンクリッチペイント」(特許出願中)の基本技術開発に成功した。同社ではこの技術を基に、2026年度中の製品化を目指す。
ジンクリッチペイントは、その高い防食性能から、橋梁やプラントなど重要な社会インフラの維持に不可欠である。一方、従来製品には課題があった。例えば、溶剤系塗料は作業性や経済性に優れているため主流であるものの、VOCの排出や強いシンナー臭が、環境や作業者の健康に対し懸念されていた。また、水性塗料は環境に優しいが、塗料液や硬化剤、粉末を現場で混合する「1液・1粉型」や「2液・1粉型」しかなく、計量ミスや可使時間の制限など、作業性に課題を生じていた。

水素ガス発生量の経時変化比較

塩水噴霧試験結果比較
さらに、水性塗料の1液化に当たり最大の課題は、水と高濃度に配合された亜鉛粉末が反応し、水素ガスが発生してしまうこと。さらに、水素ガスの発生を抑制しようとすると、亜鉛の反応性が低下し、防食性能が損なわれることであった。
同社では、今回開発の特殊技術で水と亜鉛の反応を制御。水素ガスの発生を抑制しつつ、亜鉛本来の防食性能を最大限に引き出すことに成功し、水性と1液の両立を実現したという。
本技術の製品化は2026年度中を目標。建設・インフラ業界における労働環境の改善と生産性向上を支援するとともに、あらゆる鉄構造物の長寿命化により持続可能な社会の実現に貢献していく。
℡072・894・7590(営業部)