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【製品寄稿】特殊防錆配合の新補修剤ー神東塗料

1.はじめに

高度経済成長期に建設された鋼構造物において、架設後50年を超えるものが今後増加する。つまり、鋼構造物の維持管理に関係する需要が増えることが予想される。定期点検により修繕を計画的に行うことで、鋼構造物の長寿命化と修繕にかかる費用の縮減を図ることができるため、維持管理に力を注ぐことは重要であるといえる。塗膜についても点検を定期的に行い、その劣化状態を的確に把握して、計画的かつ合理的、効率的に維持管理を行うことで長期的な鋼構造物の保護が可能となる。

鋼構造物の塗り替えにおいては、耐久性の優れた塗装系採用することがライフサイクルコスト(LCC)・環境対策・景観上の配慮の面からも有利かつ合理的と考えられている。その上で重要であるのは、鋼構造物の寿命に大きな影響を及ぼす〝さび〟をいかに抑制するかということである。〝さび〟は進行すると鋼材厚みの減少につながり、鋼構造物にとって重大な欠陥となる。塗り替え塗装においては十分な素地調整が行えない状態で、補修塗装を行っても、不十分な素地調整個所より早期にさびが発生するケースが見られる。

神東塗料は、〝さび〟の発生・進行を化学的に抑制する新しいさび面補修剤(表面処理剤)「スーパーさびコートⅡシリーズ」を開発、上市した。商品としては、強溶剤形の「スーパーさびコートⅡ」および弱溶剤形の「スーパーさびコートⅡマイルド」をラインナップしている。

「さび面補修剤スーパーさびコートⅡシリーズ」は、鋼材露出部(弱点部)の補修塗装に使用することで〝さび〟の発生・進行を抑制し、構造物の長寿命化を期待できる新技術として、NETIS(新技術情報提供システム)に登録されている。本稿では、「スーパーさびコートⅡシリーズ」の腐食抑制メカニズムとその特長について紹介する。

2.鋼材(鉄)の腐食のメカニズムについて

大気中などの一般環境で生じるさびの発生(腐食現象)は、アノード領域で生じるアノード反応(陽極反応)とカソード領域で生じるカソード反応(陰極反応)によって進行する。鉄が溶出するアノード反応が生じるためには、水分と鉄の接触が必要であり、カソード反応の進行には、水と酸素の存在が必要となる。そのため、腐食を防止する基本的な方法は、水あるいは酸素の供給を断つことが最も有効であり、塗装は表面被覆によってこれらの供給を断つ防食法となっている。

塩分の影響を受ける厳しい環境では、FeCl3溶液の乾湿の繰り返しが腐食の基本条件となる。塩化物イオン(Cl-)は潮解性が高く、濡れ時間が長くなり、水の電気伝導度を大きくする。そのため、Cl-存在下では腐食電流が流れやすくなるので鉄と反応して鉄イオン(Fe2+)の生成(アノード溶解)を促進する。生成したFe2+は空気酸化によりFe3+となる。従って、Cl-の存在によりFe3+がイオンとして存在しやすく、かつ、Fe3+の加水分解が加速されることで酸性度が高まり、腐食が促進される。

 3.「スーパーさびコートⅡシリーズ」の腐食抑制のメカニズムについて

「スーパーさびコートⅡシリーズ」は、厳しい腐食環境下で鋼材の〝さび〟の進行を化学的に抑制する特殊防錆剤を配合した新しいタイプのさび面補修剤となっている。腐食抑制のメカニズムは、特殊防錆剤のさび抑制成分が溶出して、腐食因子である水酸化物イオン(OH-) やCl-と鉄との吸着抑制効果(インヒビター効果)により、さびの発生・進行を著しく抑制させることによるものと考えている。

以上のことから「スーパーさびコートⅡシリーズ」は、厳しい腐食環境、特に塩分の影響を強く受ける環境下での防食性に優れている。また、「スーパーさびコートⅡシリーズ」の腐食抑制機能メカニズムを図1に示す。

図 1.「スーパさびコトⅡシリーズ シリーズ」の腐食抑制機能メカニズム

 4.「スーパーさびコートⅡシリーズ」の特長

「スーパーさびコートⅡシリーズ」は、〝さび〟の発生・進行を化学的に抑制する機能により、鋼構造物を長期に防食する。既設構造物の塗替え塗装時期は、さびの発生及び進行程度が指標となり、弊社の促進防食性試験結果から「スーパーさびコートⅡシリーズ」は、従来の変性エポキシ樹脂塗料と比較して少なくとも腐食量を2分の1以下に低減することができ、鋼構造物の長寿命化に有効である。鋼橋塗装においては、塗り替え塗装系のRc―Ⅲ塗装系の補修塗装として「スーパーさびコートⅡシリーズ」を使用することで塗り替え塗装時期を延ばすことが期待できる。

特長を以下にまとめる。
①.悪素地適性に優れる=低グレード(ISO St2程度)の素地調整にも、さび面に対する浸透性と化学的な防錆機能で〝さび〟の発生・進行を抑制する。

②.防食性に優れる=厚膜形下塗り塗料や高耐候性上塗り塗料との組み合わせで厳しい腐食環境、特に塩分影響を強く受ける環境での防食性に優れている。「スーパーさびコートⅡ」は、JIS K5551C種1号(鋼構造物用さび止めペイント)該当品、「スーパーさびコートⅡマイルド」JIS K5551C種1号2号該当品。

③.旧塗膜適性に優れる=アルキド系、エポキシ系、ポリウレタン系などの旧塗膜に対して幅広い塗り重ね適性がある。

④.環境配慮形塗料=鉛、クロムを含まない。低VOC塗料である。

5.おわりに

「スーパーさびコートⅡシリーズ」は、〝さび〟の発生・進行を化学的に抑制する機能を有するため、腐食の進行による鋼材厚の減少を防ぎ、鋼構造物を長期に防食することができるさび面補修剤である。Rc―Ⅲ塗装系において鋼板露出部(弱点部)の補修塗装に使用することで、鋼構造物の長寿命化に貢献できる塗装システムが提供できるものと考えている。

今後も塗装の省工程化や高耐久化によるLCCの低減、および環境負荷低減を目標にして新規の長期防錆・防食システムの開発を行い、社会基盤の貢献を目指していきたい。