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塗料塗装普及委員会、最新動向セミナー 中東情勢影響説明と人材課題

日本塗料工業会、日本塗料商業組合、日本塗装工業会からなる塗料塗装普及委員会は、2026年度「塗料塗装・最新動向セミナー」を8月25日午後1時20分から、東京都渋谷区恵比寿の東京塗料会館およびWEB配信で開催した。速報値で269人が登録。中東情勢を背景とした原材料・製品の供給不安が業界を揺さぶる一方、人材不足など構造的な課題も続いている。製造、販売、塗装の3団体が最新データを示し、それぞれの現状や団体活動等を報告した。

会場・オンライン合計269人が参加した「塗料塗装・最新動向セミナー」

はじめに「日本と世界の塗料需要動向」をテーマに、日本塗料工業会・児島與志夫専務理事が講演。経済産業省統計による2025年度の塗料販売数量は前年度比97%と厳しい状況が続く一方、販売金額はほぼ前年水準を維持した。国内市場はコロナ禍以降、数量の減少傾向が続いており、価格改定により金額を維持する構図が鮮明になった。

日本塗料工業会・児島與志夫 専務理事

続いて日塗工の需要実態調査をもとに需要区分別の動向を説明。2024年度は出荷数量が前年度比約5%減となった一方、出荷金額は6631億円と、値上げ効果などにより前年水準を維持した。2025年度の需要見込みは117万4千トン、2026年度は118万7千トンと予測する。ただし2026年度予測は中東情勢が緊迫化する以前に集計した数値であり、先行きには不透明感が残るとした。

特に今年は、中東情勢の緊迫化が塗料産業にも大きく影響した。原材料の調達難からメーカー各社が出荷制限や価格改定に動き、需要家による前倒し発注も重なったことで、3~4月には実需を上回る出荷が集中。市場在庫が急速に減少し、一部製品で入手しにくい状況が生じた。その後は原材料供給などが回復し、7月には一部製品を除き通常対応に戻ったと説明した。

需要分野では、建物用をはじめ国内市場の縮小傾向が続く一方、環境対応への動きにも言及。工業用塗料では水性化が進展しており、VOC排出量も長期的に減少している。遮熱塗料など省エネルギーに寄与する製品の普及を含め、SDGsやカーボンニュートラルへの対応が今後も重要になるとの認識を示した。資料でもVOC排出量や分野別低VOC塗料、水性塗料の比率などを示し、塗料産業の環境対応を紹介している。

国内では人口減少に伴う需要縮小が見込まれるものの、塗料は社会インフラや生活を支える不可欠な材料であるとして、新たな機能・価値の創出や海外市場への展開が重要になるとした。その世界市場については、アジアが2025年の出荷数量の57%、出荷金額の45%を占める最大市場であることを紹介。人口増加や経済成長を背景に、特にインドを中心とする南アジア市場の成長に期待を示した。

続いて「塗料販売業の現況と今後の取組み」を日本塗料商業組合・古川直志専務理事が講演した。組合員数は1992年の2447社をピークに減少し、2026年4月現在で1156社となった。2025年度に実施した組合員調査では、従業員10人以下の販売店が56・8%、20人以下では76・2%を占め、小規模事業者が主体となっている現状を示した。

日本塗料商業組合・古川直志 専務理事

人材育成では「塗料マイスター制度」が3年目を迎えた。スタンダード検定はこれまで3回実施し、合格者の累計は2040人。今年度は第4回スタンダード検定に加え、専門知識を深めるアドバンス検定の実施に向け準備を進めている。また各地域で生成AIやDX、クラウド活用などの研修を展開している。

中東情勢への対応では、4月に組合員アンケートを実施し、塗料・シンナーの入手困難などの声を把握。経済産業省に塗料、溶剤、副資材の実効性ある供給確保や、異常な価格高騰に対する経営支援などを要望した。古川氏は今後について、人材育成とDX・AIへの対応を両輪に、販売業の社会的地位向上と経営基盤強化を図る考えを示した。

最後に「建築塗装の現状と今後の取組み」を日本塗装工業会・五十嵐健専務理事が講演した。会員企業の完成工事高は2年連続で1兆円を超え、2025年は1兆626億円と前年比5・8%増となった。新築・改修別では改修工事が85%を占め、官庁・民間別では官庁18%、民間82%。構成別では建築塗装の割合が1990年頃の64%から現在は47%まで低下しており、防水や橋梁塗装など工事分野の多様化が進んでいるとした。

日本塗装工業会・五十嵐健 専務理事

一方、建設業の技能者は2025年に296万人と減少傾向が続いている。日塗装会員企業の技能者は1万6056人で、前年から655人増加。外国人技能実習生は383社で1740人を受け入れている。技能実習制度に代わり2027年4月から始まる育成就労制度や、特定技能外国人の受け入れ支援を進める。

建設キャリアアップシステム(CCUS)については、建設業全体の技能者約296万人に対して登録者は176万人と約60%に達する一方、能力評価によるレベルアップが課題と説明。日塗装では技能者のCCUS登録率が69%に達しているものの、レベル判定を受けた技能者は26%にとどまるとして、能力評価を通じたレベルアップを促し、技能に応じた処遇改善につなげる考えを示した。このほか、住宅リフォーム事業やリフォームアワード、外国人材受け入れ支援、女性活躍、安全・環境対策、全国建築塗装技能競技大会などの活動を紹介した。