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暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選【PART2】

近年、SDGsや地球温暖化対策など環境問題への対策に遮熱・断熱塗料や関連資材が貢献する。工場や倉庫、ビルや戸建住宅、加えて道路や住宅周りの舗装部等で遮熱塗料等が施工されている。遮熱・断熱塗料製品といっても、市場からの要求は年々増え、低汚染性や耐候性などの機能性付与は欠かせない状況だ。そこで、各社の遮熱・断熱塗料を「暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選」として、紹介する。

遮熱、断熱塗料/コーティング関連製品Navi

スズカファイン、自主管理登録、業界最大392色

スズカファインは1972年に国内初の太陽熱反射塗料を発売したパイオニア。「クールトップシリーズ(水系1液)」「ワイドエポーレクールシリーズ(弱溶剤系2液)」などのJIS認証品をはじめ、ハルスハイブリッドタイプの「ルーフバリアシリーズ(弱溶剤系1液及び2液)」では、無機系、ふっ素系、シリコン系の遮熱色を展開する。ラインアップは屋根用以外にも屋上用・外壁用と幅広く、日本塗料工業会の遮熱塗料(屋根用)自主管理登録商品に業界最大の12品392色を登録している。

専用下塗りには「ワイドさびストップCOOL」などの金属系素地用、「ワイド浸透シーラーCOOL」などのセメント系素地用を豊富にラインアップしており、各種下地に適用する。中でも上塗りの艶のり性が向上するサーフェーサー機能をもった新生瓦用カチオン系下地調整塗材「ベスコロフィラーCOOL」は、より上質な仕上げを求めるユーザーから好評である。

遮熱塗料と組み合わせる中塗材でも、自動車用制振材の技術を応用し、ゲリラ豪雨などの雨音を低減する制振防音用中塗材「シャオンクール」(特許製品)、断熱用中塗材「断熱クールバインダー」などを揃え、機能性付与が可能である。また、アクリル系が中心であった屋上防水層用の上塗り材にも、高耐候性グレードの遮熱製品のラインアップを拡充。ウレタン防水用「水性ボウスイトップCOOL」、ゴムシート防水用「クールトップセラSi及び(骨材入り)FSi」、塩ビシート防水用「クールトップセラ塩ビ用Si及び(骨材入り)FSi」、FRP防水用の「クールトップセラFRP用Si及び(骨材入り)FSi」を揃え、従来のアクリル系と比較し、長期間、防水層の熱劣化を抑制する効果がある。同社は、自然に寄り添い、省エネに貢献し未来を見つめる技術を目指す。

大同塗料、屋根無機系遮熱にクリヤー仕様設定

大同塗料は、各用途での表面温度の上昇を抑える塗料に「遮熱塗料シリーズ」を展開。屋根用をはじめ床用、プール用、アスファルト用、工業タンク等の用途に最適な遮熱製品をラインアップしている。用途ごとで提案することで、暑さ対策の一端を担う。

昨年は、屋根用塗料として最高グレードの「ハイルーフマイルドMUKI」を上市。遮熱型の製品も設定されている。同製品は、無機系ハイブリッド型の樹脂により超耐久性を実現する特徴を持つ。無機系の上市が各メーカーから相次いでいるが、同社の無機系製品は最終工程がクリヤー。この工程により顔料露出を抑制し、長期にわたり耐久性を維持する。遮熱型は、屋根温度を大幅に低下させる機能があり、各種化粧スレート、金属屋根、プレスセメント瓦、乾式コンクリート瓦、陶器瓦と、用途幅が広いのも特長だ。

水系では、「水系ハイルーフSi」が遮熱塗料(屋根用)自主管理登録商品となっている。水性にもかかわらず強靭な塗膜は、長期耐候性・耐久性に優れる。低汚染タイプで環境面を重視する屋根用トップコートとして最適であり、環境対策品として引き合いが強い。

300万㎡超の施工実績を誇る屋根用遮熱塗料では、「屋根クールネオ」がある。一般的に従来の遮熱塗料は防食性という点で専用塗料より劣る部分もあるが、同製品はサイクル腐食試験でも良好の結果を得ており、〝防食性〟と 〝遮熱性〟を兼ね備えた特徴を持つ。従来から屋根用長期防食塗料として使用されている天然アスファルト系塗膜への塗装が可能である。プール用では、「プールコートプールサイド遮熱工法」を展開中。プールサイドを歩きやすく、過ごしやすくする。各マーケットのニーズに応じ遮熱製品を開発してきた同社。本格的な需要期を迎え、各製品の活躍が期待されている。

大日本塗料、耐汚染性優れ遮熱効果を長期維持

大日本塗料は、遮熱・断熱塗料「エコクールシリーズ」を展開している。その特長として、①優れた省エネルギー効果を有する(第三者機関での結果により、その性能について高い評価を得ている)、②遮熱効果の長期維持が可能(耐汚染機能に優れ、遮熱効果を長期間持続する)、③長期間にわたって被塗物を保護する、④希望の色(美観・デザイン)を提供できる、⑤カーボンオフセット商品である、といった点が挙げられる。
 
「エコクールシリーズ」は、太陽光の反射性能に加え、熱放射性を付与することによって、より高い温度低減効果を発揮する。さらに、断熱機能の組み合わせで室内への熱の侵入も防ぐことが可能である。すなわち、「エコクールシリーズ」を塗装することで、空調負荷の低減効果を示し、建築物の蓄熱、温度上昇の抑制が図れる。ひいては、二酸化炭素の排出量削減や、ヒートアイランド現象などの環境問題に対応した塗料である。
 
「エコクールシリーズ」のラインアップには、溶剤形と水系塗料を用意している。弱溶剤形塗料は上塗りを3種類の樹脂系より選択できる。その内容を挙げると、「エコクールスマイルF」(弱溶剤形ふっ素樹脂系)、「エコクールスマイルSi」(弱溶剤形シリコン樹脂系)、「エコクールスマイルU」(弱溶剤形ウレタン樹脂系)がある。
 
また、断熱塗料「エコクールスマイル下塗HB」(弱溶剤形断熱塗料)を組み合わせることで、さらに温度低減効果が得られる。
 
水系塗料については「エコクールアクアF」(水性ふっ素樹脂系)、「エコクールアクアSi」(水性シリコン樹脂系)とあり、「DNT断熱テクト」(水性断熱塗料)と併せることでより耐久性が高くなり、メンテナンスサイクルを延ばすことができる商品体系となっている。

日本ペイント、最大で91%の全日射反射率 

日本ペイントの遮熱塗料「サーモアイ」シリーズは、今年で発売から16年目を迎えるロングラン製品である。上塗りと下塗りの塗膜全体で発揮する遮熱効果は、最大で全日射反射率91%と高性能(塗色:クールホワイト)。さらに、高耐候性、低汚染性、防藻・防カビ性、透湿性の機能を備えており、遮熱機能低下の原因となる塗膜の色相変化や汚れの付着を防ぎ、長期間効果を保持する。
 
屋根用「サーモアイ」外壁用「サーモアイウォール」で建物の省エネに貢献する。同シリーズは工場や倉庫での採用が多いが、近年は戸建て住宅リフォームでの採用が進んでいる。シリコン樹脂系「サーモアイSi」やフッ素樹脂系「サーモアイDF」など豊富なグレードで施主のニーズに対応し、下地の種類により屋根以外にもさまざまな箇所への塗装が可能な点が評価されている。
 
昨年は屋根用塗料で初となる環境ラベル「エコリーフ」認証を「サーモアイSi(対象色:クールホワイト)」で取得し、顧客のカーボンニュートラルを支援する。
 
さらに、昨年上市された無機系塗料の新シリーズ「グランセラ」シリーズの「グランセラベスト2液ファイン遮熱」は、遮熱性能を有し、無機系塗料ならではの超高耐候性と「サーモアイ」シリーズで培った遮熱技術を活用し、施主の幅広いニーズに応える。
 
また、「サーモアイ」シリーズで培われたダブル反射・赤外線透過技術に熱伝導制御を加えた製品として、スレート屋根用に特化した下塗り「パーフェクトクーラーサーフ」と上塗り「パーフェクトクーラーベスト」がある。両製品を組み合わせることでダブルの反射効果と熱伝導制御という〝トリプル遮熱効果〟を発現。さらに、ラジカル制御技術による高耐候性に、防藻・防カビ機能を備えている。同社は、これら製品を通じて遮熱塗料市場での需要取り込みを加速させる方針だ。

暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選【PART1】
暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選【PART3】