沖縄の街を巡る 建物・壁画を塗装で彩る
沖縄の街を歩くと、特有の文化や気候から工夫を凝らした塗装を見かける。それらは、アウトレットモールを引き立てるアーティストの作品であったり、「チャンプルー文化」を表現したり、台風銀座と言われるほど台風が多く、台風に耐える塗装等さまざまである。また、塗魂インターナショナルも塗装ボランティアで一役買っている。今回は沖縄の街を巡り、塗装で彩られた建物や壁画を紹介する。
「沖縄アウトレットモール あしびなー 」壁画が映える
“沖縄アウトレットモール あしびなー”は、沖縄県豊見城市豊崎に建設されたアウトレットモールである。大和情報サービスが運営する沖縄県初となるアウトレットモールで2002年12月に開業した。すぐ近くに豊崎美らSUNビーチがあり、沖縄県塗料商業会(根路銘諭会長)では2年に一度ビーチバーベキュー大会を開いている。アウトレットが位置する豊崎地区は、那覇空港から車で15分程度交通の便が非常に良い。観光エリアとして開発が進められており、今後さらなる観光集客が見込まれている。

大和情報サービスは、「平成31年度沖縄観光コンテンツ開発支援事業」として、昨年7月~今年1月までファッションとアートシーンで地域観光経済の活性化を目指す事業「POW!WOW!JAPANin沖縄アウトレットモール あしびなー」を実施した。
アウトレットの敷地の塀や建物の壁に壁画をPOW!WOW!JAPANの18人のアーティストが制作した。壁画のコンセプトは「カラフル、旅、映える」だった。公開に併せてアートフェスティバルを開催した。フード、音楽、スポーツ、ダンス、ワークショップなどの様々なイベントを実施した。

この事業は、新たな観光コンテンツ創出による新規観光需要の獲得、滞在期間の延伸、観光消費単価の向上が期待されている。
同事業はアートコンテンツをフックとして、地元の物産、食、および工芸など、様々な沖縄の文化を発信しながら、南部観光の拠点としての発展を目指す。







このアウトレットでは、リゾート色豊かなオープンモールに、国内外の100以上の店舗が集結している。これまでは30~50年代の客層がメーンだったが、壁画の効果で20~30歳代の若い年代層が増えるのでないかと期待している。
沖縄発!台風に耐え、エコロジーな木造建築

沖縄は台風銀座といわれるほど毎年多くの台風に見舞われる。そのため丈夫なコンクリートの建物が一般的である。田中工務設計(兵庫県西宮市・田中良作社長)は、沖縄の知人の依頼で台風に耐え、エコロジーにこだわった新築の建物の総合企画を依頼された。
まず設計段階で沖縄の風速基準に耐え得る強度であることを構造計算で確認。ベタ基礎を採用することにした。ベタ基礎は、建物の重量を基礎全体で支え、地面からの湿気を防ぎ、シロアリも侵入し難い構造となっている。

沖縄ではコンクリート造りの建物は、夏の夜は熱気がこもったり、結露やカビが発生しやすいなどの改善すべき面がある。「住み心地の良い建物」というコンセプトで熱伝導率の低い無垢材を使った木造に決定した。
床材には調湿性のある杉の無垢材を、内壁にはシラスや珪藻土を使用。シラスや珪藻土は多孔質構造で優れた調湿性や吸着性がある。化学物質を含んでいないため、室内空気がきれいで健康的である。
なお、沖縄県環境科学センターによる、室内のパッシブ法測定結果は、ホルムアルデヒド11µg/㎥(室内濃度指針値100µg/㎥)、アセトアルデヒド21µg/㎥(室内濃度指針値48µg/㎥)であった。
屋根材は特殊な顔料により、太陽光の熱エネルギーを反射して、屋根の温度上昇を抑える効果がある。ガラス窓は複層ガラスを採用した。断熱性能が単板ガラスに比べて大幅に改善されている。外装仕上材には、耐久性に優れ、湿度が高くとも藻やカビが繁殖しにくく、弾性と伸縮性があるジョリパットが採用された。

またEM研究機構の指導により、主要な建材にはEM活性液の塗布およびEMセラミックスパウダーを壁材に添加した。EMとは有用微生物群(Effective Microorganisms)を略した造語である。
EMには、生物を始めてとしてあらゆる対象を蘇生(活性化)させる力があり、農業、畜産、水産、環境、医療、建築など多岐にわたる分野で高く評価され、様々な問題を解決している。
EMを応用した食品や製品は数多くある。EM栽培の米をはじめ、野菜、果物などの農産物。鶏、豚、牛などの畜産物、エビやカニなどの魚介類。EM資材、EM飲料、EM加工食品などがある。
完成した建物は沖縄県名護市の古我知にある。現在、島嶼(とうしょう)生物研究所(沖縄県)が北部作業所として事業を行っている。
同研究所は、琉球列島における生物多様性の保全を目的とし、これらの問題に積極的に取り組むために設立した。琉球列島の自然環境保護を第一と考え、保全のための知識と経験、技術を蓄積し、活動している。
沖縄コザ十字路の壁画群

コザ十字路は、沖縄県沖縄市照屋にある交差点を中心とした以前繁華街だった地域である。交差点のビルディングには何種類もの壁画が描かれている。
米軍嘉手納基地の正門近くに位置し、“十字路と言えばコザ十字路”“市場と言えば十字路市場”と言われるほど有名だった。十字路を中心とした一帯の商店街は、かつては大変な賑わいを見せたが、現在は寂れている。活性化の試みが行われ、コザ十字路まつりが毎年開催されている。

戦後、コザ十字路界隈は、沖縄中部・北部の中継地となり、周辺米軍基地の影響を受け、人々が集まり市場が形成された。1960年代、コザの町には、胡屋エリアに「白人街」、壁画があるコザ十字路エリア(照屋)には「黒人街」があった。


またこの地域は、「チャンプルー文化」の街でもある。チャンプルーは、沖縄の方言で「いろいろなものを混ぜる」という意味である。沖縄は昔からアジア近隣諸国、アメリカ文化など様々な文化が入り混じっていた。コザ十字路のある沖縄市は沖縄県内でも特に異文化が発展している場所である。

沖縄特有の結納品の一つに「松風(まちかじ)」というお菓子がある。そのお菓子には、二人の縁を結ぶという意味がある。壁画前広場には、そのお菓子をモチーフにしたベンチが設置されている(写真)。
塗魂インターナショナル、今帰仁村で塗装ボランティア

塗魂インターナショナルのメンバー60人は、1月13~15日の3日間、沖縄県国頭郡今帰仁村字中曽根の今帰仁村(なきじんそん)中央公民館の列柱の塗装ボランティアを行い、220本が鮮やかな赤色にリフレッシュされた。
塗料を寄付したのは菊水化学工業とバリュー・クリエイションだった。地元の人達をはじめ13日には地元の小学生もボランティアに参加した。
塗魂インターナショナルは、全国の塗装店有志で結成され、自他供の幸福のためを根本の考えに掲げ、海外を中心とした塗装による社会貢献活動を積極的に行ってきた。今回の活動は節目の10回目だった。これまでのボランティア活動の詳細は、ハワイ キャンベル学校、ホノルル妙法寺、ベトナム ホアンカン病院、杉原博物記念館、ドブケビチュス学校、タイモン学校、グアム慰霊公苑、グアム イパオビーチパーク内ステージである。

今帰仁村中央公民館は、1975年に竣工した。設計は象設集団とアトリエ・モビルで、代表作品に日本建築学会賞を受賞した名護市庁舎がある。
中央公民館の建物は、中庭の芝生を囲むようにコの字型に配置されている。赤い列柱が276本あり、列柱と内側のスペースの間は回廊となっている。列柱はコンクリートブロックを積み重ねられて造られている。
回廊の内側から見る列柱は京都の伏見稲荷の鳥居を連想させる。また芝生を前景とした列柱群は、異国情緒たっぷりで外国の景色のようである。
