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暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選【PART3】

近年、SDGsや地球温暖化対策など環境問題への対策に遮熱・断熱塗料や関連資材が貢献する。工場や倉庫、ビルや戸建住宅、加えて道路や住宅周りの舗装部等で遮熱塗料等が施工されている。遮熱・断熱塗料製品といっても、市場からの要求は年々増え、低汚染性や耐候性などの機能性付与は欠かせない状況だ。そこで、各社の遮熱・断熱塗料を「暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選」として、紹介する。

遮熱、断熱塗料/コーティング関連製品Navi

日本特殊塗料、遮熱塗料シリーズで暮らしに貢献

日本特殊塗料において発売から20年超えて好評を博す屋根用遮熱塗料「パラサーモシリーズ」。昨春にリニューアルし展開中だ。同シリーズは航空機用塗料で培った独自技術で高反射・高耐久を実現している。2液型弱溶剤フッ素樹脂塗料「パラサーモF」、2液型弱溶剤シリコン樹脂塗料「パラサーモSi」、2液型弱溶剤ウレタン塗料「パラサーモU」を揃える。
 
また、特殊顔料を用いることで赤外線を反射し熱エネルギー変換を抑止し屋根の温度上昇を小さくする。さらに、中空バルーンを含む遮熱断熱防音塗料「パラサーモシールド」を組み合わせることで、透過した赤外線による熱エネルギーをさらに遮断することができる。
 
太陽光の紫外線を直接受ける屋根においては特に耐久性が求められる。そこで、前述の航空機用塗料の技術を用い、雨や雪、強風下での抜群の耐久性を発揮する。
 
加えて、同社独自のラジカル制御により、紫外線をキャッチし高耐久化を実現。ラジカルは塗膜中の酸化チタンや樹脂に紫外線や酸素、水分が当たることで発生し、樹脂を破壊して塗膜の劣化を促進してしまう。ラジカルの発生原因である紫外線の大半を高性能紫外線吸収剤で吸収し、すり抜けた微量の紫外線によって発生するラジカルは光安定剤で捕捉し無害化する二段階のラジカル制御技術を組み込む。酸化チタンの表面処理により紫外線から防御する三段階制御技術を採用して万全を期している。
 
なお同社では、屋根用のほか、外壁用・バルコニー用・床面用の省エネ・遮熱塗料シリーズで暮らしに貢献。外壁用では外断熱塗料が優れた防音効果を付与し、静かな室内を実現する。さらに屋上、バルコニー用の防水材では、太陽光線を反射するとともに、雨水の浸入を防ぐ。床面用では、駐車スペースなどの舗装面で太陽光や熱の蓄積を抑え、温度上昇減少でヒートアイランド現象を緩和する。

東日本塗料、直需客に指名、遮熱・断熱塗材

東日本塗料の販売好調製品に遮熱・断熱商材がある。両ラインアップを揃えることで、顧客の選択肢を広げてきている。昨年度にも増し、好調な拡販に成功しているのが水性断熱塗材「断熱コートEX」。 特に工場改修では、働く環境を快適に過ごせる整備が推進され夏の暑さを防ぎ、冬でも暖かい機能を求めている施主の要求にマッチした。また、工場屋根塗装における水性化にも貢献しており、環境対応品としても選ばれる理由になった。
 
同塗料は、熱エネルギーとなる赤外線を反射させる遮熱顔料と、熱伝導率を低減させる有機無機ハイブリッドバルーンを採用。汚れが付着しにくい低汚染性を発揮。その機能は長期間にわたり確保されるため、汚れにくい断熱塗料として新しい市場を切り開いている。また、トップコートレス、従来工法より工程を短縮したことで、採用実績が増えた。
 
遮熱塗料では、鉄部屋根等の水性遮熱速乾塗料「ツインコートアクアHB」が好調だ。同塗料は、1液水性遮熱塗料でありながら速乾性を有したプライマーレス仕様製品。金属部全般に塗装できる汎用性を保持し、材料選定に縛られないメリットがある。1液水性プライマーレスでありながら、ラジカル制御機能を持たせ、耐候性にも優れる。工場屋根などの大規模修繕に採用されることが多くなっているそうだ。
 
同社に昨今の顧客の動向を聞くと、「施主様ご自身でインターネットなどを用いて調べ、HPに直接お問合せをいただくことや、直接塗装業者の方に材料をご指定いただき、採用につながることが多くなっている」と話し、直需方面の引き合いが増えている傾向にあるという。
 
こうしたニーズに対し、塗装事業者向けには、同社製造工場での勉強会を開催し、直接材料に触れ、製品理解を深める機会を多く設けている。

水谷ペイント、人気シリーズに外壁遮熱製品追加

水谷ペイントでは、屋根用塗料を溶剤系から水系にシフトを促す製品展開を図っている。全国8カ所で行われた製品説明会の中でも、水性化が進む物件実例を紹介。大手メーカーの工場屋根の水性化進捗状況を説明した。この流れは、工場屋根から、戸建て塗り替えの市場にも波及していくと同社は見る。
 
こうした中、水系1液の屋根、外装用塗料の新ブランド「ナノテクシリーズ」に昨年、遮熱グレードの設定の幅を広げた。同シリーズは、施主目線のわかりやすい製品展開がうけ、好評を博している。期待耐久性を、製品名としているため、一目で製品グレードの違いが判断しやすい。今回、外壁塗料の「ナノウォール20」、「ナノウォール15」に、新たに遮熱機能を追加。既存の屋根用の同グレードと併せて屋根・壁の遮熱仕様が組めるようになった。
 
一方、2液型の屋根用水系塗料では、ナノシリコン塗料「ルーフピアニ」があり、遮熱色を展開。ユーザーからの根強い声である「溶剤系は2液だから安心」、「水系は1液だから不安」、といったイメージを払拭させるために開発された製品である。同社独自の水系2液硬化システムと「ナノシリコンテクノロジー」の融合で、水系塗料でありながら従来の弱溶剤系2液型シリコン樹脂塗料と同等以上の耐久性を発揮する。年々採用物件数も増えている。
 
同社では、こうした屋根用の水性製品を拡充・拡販することで、水性屋根塗料の付着性や耐候性に対する不安を払拭させていきたい考えだ。
 
なお、4月1日より、同社埼玉工場の調色設備を増設。取引販売店から午前11時30分までに注文があった場合、当日出荷となる体制を整えた。今回紹介した、ナノウォールシリーズをはじめ、ナノシリコンW、ナノコンポジットシリーズの調色を増強した構えだ。

ロックペイント、工場・倉庫屋根用の提案色新発売

遮熱塗料は塗膜の日射反射率の求め方のJISが制定されたこともあり、現在機能性塗料の一つとしてかなり認知、理解されるようになってきている。ロックペイントでは、弱溶剤シリコン系の「シャネツロックルーフSi」において、工場や倉庫事業者を対象にした「工場・倉庫向け屋根用提案色」として8色を新発売した。これらの塗色には、日射反射率の実測値を掲載しており、施主により理解しやすい提案色としている。また外壁用とセットで提案できる形で訴求している。
 
屋根用では、エアコンなど空調の光熱費低減効果が期待でき、都市部のヒートアイランド現象に代表される環境問題に適応した塗料「シャネツロックシリーズ」を展開している。市場ニーズの高グレード化と建物のライフサイクルコスト低減を考慮した弱溶剤フッ素系「シャネツロックルーフF」の他、JIS K 5675 2種2級を認証取得している同シリコン系の「シャネツロックルーフSi」をラインアップ。同社HPには「ルーフペイントシリーズ」専用サイトを開設し、シャネツロックルーフの特長、ルーフシリーズ商品マップのほか、「屋根用塗料、塗り替え前に知っておきたいこと」と題したよくある疑問点をQ&A形式で紹介している。ハイグレード化した「シャネツロックルーフF」の売り上げも着実に伸ばしてきており好評である。
 
また外壁用には、弱溶剤シリコン系の「シャネツロック外壁用」を取り揃えており、塗り替えニーズに対して屋根用と組み合わせた販売活動に注力している。なお、これらの下塗りには住宅用化粧スレート(新屋根材)やモルタル向けの「シャネツロックシーラー」と金属系下地用の「シャネツロック・プライマー」があり、「W(ダブル)反射効果」による室内温度上昇を抑制する他、低汚染性能による塗膜の美観や遮熱効果の維持を図っている。

暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選【PART1】
暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選【PART2】