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オートサービスショー、水性製品の多様化へ

賑わいを見せたオートサービスショー

日本自動車機械工具協会(柳田昌宏会長)主催による「第37回オートサービスショー2023」が、6月15日から3日間、〝ヒトとクルマの未来を守る整備機器〟をテーマに、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開かれた。国内外より各種自動車整備検査用機器を一堂に集めて開催。塗料・塗装関連では、オール水性仕様の自動車補修用水性塗料や、自動調色システムの展示が見られた。

今回のオートサービスショーでは、塗料メーカーブースでの動きに、水性製品ラインアップの拡充があり、水性製品の多様化とも言ってよく、顧客ニーズに合わせ水性ベースコートの2ライン展開があった。

調色作業については、調色精度を上げるコンピューターシステムのバージョンアップに加え、経営指標になるデータの蓄積という新しい機能への変化が表れている。
各塗料メーカー等の主なブース出品内容は以下の通り。

アクサルタコーティングシステムズ

“環境配慮・エネルギ―消費削減・人手不足の対策” をテーマとしたアクサルタ。低温常温乾燥化にも対応することでCO2削減だけでなく、昨今高騰している光熱費の削減にもつながる低燃費システムを出品した。クロマックスブランドの「ウルトラパフォーマンスエナジーシステム」とスタンドックスブランドの「エクストリームレボリューションシステム」は、乾燥が圧倒的に早く、評判を聞きつけ足を運んだ来場者もいた。また、マットクリヤー製品も評価が高かった。

マットクリヤー製品を出品

イサム塗料

6月20日に発売を控えた自動車補修用1液水性ベースコート「CRONOS HD(クロノス エイチディー」を発表。同製品は、ウェットオンウェット塗装により、従来型の水性ベースコートとの比較して、作業時間の大幅な短縮が図れる。「作業者の負担軽減」というコンセプトのもと、同社水性ベースコートとしては、既存製品となる「AXUZ DRY(アクアス ドライ)に続く2ライン目となるブランド展開になる。

新製品の1液水性ベースコート「CRONOS HD(クロノス エイチディー」

KCC

韓国最大手塗料メーカーとなるKCC Corporationブースでは、輸入総代理店をつとめるNCCが製品説明を実施。自動車補修用水性塗料「SUMIX」を始めとするプライマーやクリヤー、調色室やAI機能搭載のCCMシステムを紹介した。

KCCの塗料は、韓国では自動車補修用塗料の7割のシェアを持つ。米国でもHyundaiの電気自動車「アイオニック」が人気となり、塗料仕様となっている同塗料の出荷が増えている。水性塗料の「SUMIX」は、隠ぺい力に優れ、現場での塗料使用量を削減する効果があると言う。

ヒュンダイ自動車直営サービスで使用されている「SUMIX」

関西ペイント

人を第一に考えたサステナブルなボディーショップの実現〟をコンセプトに、製品を展開。「レタンWBエコシステム3・0」はベースコート、プラサフ、クリヤーをオール水性化・有機則フリーを実現している。さらに、耐擦り傷性クリヤーや艶消し仕様を追加して補修範囲の拡大を図る。

「AIカラーシステム」はカラーセンサーと最先端情報技術を組み合わせたコンピューター調色システム。調色回数の削減化で、作業の標準化と時間の短縮を実現し、誰もが活躍できる職場と、全体での生産性向上が実現できるという。

キー製品であるレタンWBエコEVシステム

大日本塗料

トラックやバスといった大型車両シャーシの保護や美観付与を目指した環境配慮型の新製品2種を出展した。「オート ハイドロシャーシ」は水性1液型ウレタン樹脂系塗料で、従来の水性塗料より乾燥の速いことが特長。高漆黒・高光沢・高鮮映性によりシャーシ部分に美観を付与できる。

「オート ラピッドドライシャーシネクスト」は速乾アクリルアルキド樹脂系塗料。優れた光沢や肉持ち感、耐候性に加え、速乾のため周りへのミスト付着が少なく、雨染みが付きにくいため、作業性も良好である。

公式キャラクターであるひえティが新製品をアピール

日本ペイント

水性塗料の新製品として、「naxE3WB(2:1)SCクリヤー」と「naxE3WB PPプライマー」を紹介。前者は耐擦り傷性クリヤーで、粘性・表面の両制御技術により高外観の仕上がりとともに、特殊樹脂の組込みで耐擦り傷性を達成した。後者は溶剤系と同等性能を有するプラスチック用プライマー。表面調整技術で平滑な仕上がりを実現した。

コンピューター調色システムでは「COLOBO2」を展示。使用量管理やコストの算出が可能なサブアプリを搭載している。

コンピューター調色システム「COLOBO2」

BASF

近日発売予定の水性塗料ブランド「baslac®」を発表。BASFの自動車補修用塗料は、長年「R-M」が高級ブランドとして存在していたが「baslac®」は間口の広い価格設定により日本発売される。既に欧州等では実績があり、塗料の質は落とさずサービスフォロー体制を簡素化することで、価格を安くする。既にR-M導入しているBP工場であっても軽自動車等の補修では、価格と見合わないため水性塗料を使用しない例などがあった。2ブランド体制にすることで、水性塗料の間口を広げる。

新ブランド「baslac®」を市場展開

ロックペイント

「未来を守る次世代塗料」 をテーマに、水性ベースコート「ネオウォーターベース」をはじめとする水性製品のラインアップ等を展示。また、調色作業支援システム「Dr.ROCKIVクラウドシステム」を紹介した。

調色作業支援システムでは、今後オプションのバージョンアップ機能を披露。塗料使用量の集計データ管理や、配合した調色品の価格を管理できる機能を追加する予定だ。調色作業から、経営データを抽出できる仕組みを構築する。利益管理や塗料の適正発注につながっていくだろう。

新機能を追加する調色作業支援システム「Dr.ROCKIVクラウドシステム」

アンデックス

快適な作業環境を実現するという塗装ブースや付帯機器の実物を展示。暑熱対策の効果を体験できる構成とした。

「CAB‐SP」は空調機能付きの上下流プッシュプル型塗装ブース。水性塗料対応、特許取得済の同ブースはセパレート型空調なのでイニシャル・ランニングとも低コストが図れる。

「ADC/F」は冷房機能を持つ集塵装置で、屋外排気が不要なため清浄な空気を冷却しながら循環ができる。「トルネードシステム」は必要なエリアだけ空調できるため、省エネ効果が高い。

冷房機能付き集塵装置