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最新表面技術一堂に、SURTECH開催

SURTECH2021 表面技術要素展が、1月26日からの3日間、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開催した。同展は塗料・塗装やめっき技術を中心に、表面処理・表面改質・表面硬化まで幅広い分野に対応した展示会となる。環境負荷の低減に寄与する技術やSDGsへ対応を支援する商材が並んだ。同展、併設展の注目ブースは以下の通り。

【日本パーカライジンググループ】
 「持続可能な社会の実現に向けて」をテーマにカーボンニュートラルに寄与する製品を展開。ジルコニウム表面処理剤では自動車メーカー等で既に採用されている「PALLUCID」を展示した。同製品はCO2削減効果がリン酸亜鉛より70%も減少できると言う(原料、製造、輸送工程から試算)。

また、同薬剤を使用することで、脱脂・表面調整・化成工程のうち、表面調整工程を省くことができ、スラッジ発生量もリン酸亜鉛の1/10以下と、大幅に減少する。このことで、薬剤・供給水が不要となり、水源保護並びに排水処理コストが削減できる。スラッジにおいても産業廃棄物の処理費は年々上昇傾向にあり、コストと環境負荷を大幅に低減できる。現在では、表面処理剤の主流となるリン酸亜鉛系であるが、環境面でジルコニウム系への代替がテーマになっている。大手メーカー等では採用が進んできており、表面処理の薬剤での変化が起きている市場となる。

【奥野製薬工業】
同社は新機能となるアルミニウム用のコーティング剤等を展示。シリカ系高耐食性コーティング剤の「Protector HB‐LTC2」は、顔料による色彩表現を可能にした製品。顔料を採用したことで、耐候性・耐水性も向上。一般的な、アルマイトの前処理より2倍近い高耐食性を示す。また、基本色の3色を調色することにより、好みの色調ができる。

Protectorシリーズは、金属素材への高耐食性・電気絶縁性・防汚性・低摩擦化などの機能を有する。ゾル‐ゲル法による低温成膜により素材の特性を保持しつつ、シリーズ展開を行っている。

【東京都立産業技術研究センター】
同センターでは、腐食過程の可視化装置の開発を進めている。現在、特許を出願中の開発となる。従来の試験機では、錆が「いつ、どこで、どのように進展するか」がわからず、また、試験自体もアナログで属人的な部分があった。同開発では、画像解析による錆の定量化により、連続した画像を撮影し、発生した錆の面積を画像解析により、定量化し評価する。撮影から画像解析までを自動で行い、作業者の負担も軽減する。今後の展開として、船舶、海洋、屋外用の金属部品の研究や製品開発に活用予定である。また、金属材料の耐食性向上に興味のある企業と共同研究を希望しているとのことだ。

【日本ジェット・オン】
同社は、低圧で加温塗装することで塗着効率が向上し、塗料消費の削減につながる「NITROTEHRMSPRAY(NTSシステム)」を出展させた。工業塗装の塗着効率改善は、ブース清掃の削減や塗料使用の削減等、メリットが高い。NTSシステムは、既存の圧縮空気設備に組み込むだけで、低圧加温塗装が行える。低圧塗装によりオーバースプレーを抑制し、塗着効率が向上する仕組みだ。

一方で、塗装品質も改善されるシステムとのこと。加温により霧化状態を良好にさせ、微粒化させることにより、きれいな塗装仕上がりが得られる。塗着効率では、実際に採用した工場ラインにおいて、最大3割程度、削減した事例もあり、工場の塗装プロセス改善の足掛かりとなる一台である。

【ケツト科学研究所】
1月21日に発売した製品「膜厚計L-500」を展示した。プリンタ内蔵型の膜厚計で、測定したデータをその場で印字ができる。測定物や測定箇所に結果を貼り付けることもできるため、膜厚管理を助けるシステム構成になっている。また、従来品より測定値の正確性が増し、先端チップの耐摩耗性を向上させている。片手で保持しやすい形状の本体には、大型ディスプレイを搭載することで、視認性を改善している。

【新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)】
大建工業と利昌工業のプロジェクトである「CNF技術を利用した住宅・非住宅用内装建材の開発」は、塗装の被塗物の変化を予見する研究であった。同プロジェクトは、生物由来素材であるセルロースナノファイバー(CNF)を主成分とした内装建材の開発・実証検証を目的にしている。開発品では、軽量・高強度の材料となり、CNF製板材に塗装やシートを施すことで寸法安定性が向上している。無垢の木材のように伸び縮みする特徴がなく、かつ高強度、さらに木材調の意匠性も兼ね備える。開発担当者は「高強度のため、木材の代替より、鉄等の部材に転用できるのではないかと考えている」と、話している。