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【万博】「人間洗濯機」が進化

2025.06.17

観光経済新聞、東京交通新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの専門5紙誌は2025年度の連携企画第1弾として、4月13日に開幕した「大阪・関西万博」をテーマに取り上げた。各紙誌が見た万博、各業界の万博関連の動きをリポートする。

旅館・ホテルでの導入、今後に注目

大阪府・市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」は、「REBORN(リボーン)」をテーマに、「毎日の生活の中で、『自分』や『健康』を大切にし、イキイキと明日に向けた一歩を踏み出せる、ミライの都市生活を体験できる」七つのゾーンを展開。測定された健康データをもとに、25年後の自身の姿(アバター)を映す「ミライのじぶん」、iPS細胞で作られた動く心筋シートなど、興味深いさまざまなプログラムや展示が盛り込まれている。

「ミライ人間洗濯機」の実体験の様子(5月9日)

 
展示の一つ、「ミライ人間洗濯機」は、1970年の大阪万博でも話題になった「人間洗濯機」をさらに進化させたもの。独自の技術による超微細な気泡を生かしたシャワーヘッドを製造・販売するサイエンス(本社=大阪市)が開発。70年万博で展示された人間洗濯機「ウルトラソニックバス」を開発した三洋電機の開発者がこの出展に向けてアドバイスした。
 
カプセル状のマシンに入浴者が入ると胸の下まで湯が自動給水。首から下は直径約千分の3㍉の気泡「マイクロバブル」、首から上は直径約1万分の1の気泡「ウルトラファインバブル」が放たれ、全身を自動洗浄する。洗浄にボディソープやシャンプーなどの洗浄剤は使われない。「体の汚れはプラスの電荷、バブルはマイナスの電荷を帯びています。このプラスとマイナスが引き合い、マイクロバブルの浮力で汚れを浮かせて取り除くというメカニズムです」(サイエンス取締役経営企画本部企画広報部部長・前倉祐子さん)。
 
湯船ではマイクロバブルにより体の皮脂や毛穴の汚れ、臭いの元の物質を除去。さらに入浴者の心身状態、疲労度をセンサーで測定し、入浴者に寄り添ったウルトラファインバブルを含む水流で顔や頭を自動洗浄する。前方のスクリーンには、これらの測定値に基づき、入浴者をリフレッシュさせる映像を流す。気分が落ち込んでいる時は明るい気分になれる映像、興奮状態の時は気分を落ち着かせる映像を流すという具合だ。洗浄が終わると一気に排水し、洗浄された体を乾燥。ここまでの所要時間はおよそ15分。
 
パビリオンでは1日5回、来場者に入浴体験をしてもらっている。体験者の1人、東京都在住の松本卓さんに話を聞いた。「妻が万博行きのプランを練り、行くのであればぜひ体験をと、申し込みました。『エヴァンゲリオン』に出てくるマシンのようで、最初は興奮しましたが、時間がたつとシャワーや映像が流れてきて、しっかりとリラックスできました。今日のように万博の会場を歩き回って疲れた時など、体を洗ったり、乾かしたりするのが面倒なので、家やホテルにあるとうれしいですね」。
 
ミライ人間洗濯機を開発したサイエンスは、独自の技術による超微細気泡を生かしたシャワーヘッドや入浴装置を製造・販売し、全国の旅館・ホテルにも多くの導入実績を持つ。同社の前倉さんはミライ人間洗濯機の今後について、「『体も心も自動で洗われる』がコンセプト。ただ体を洗うのではなく、日々の健康管理を毎日のお風呂でできるのがセールスポイントです。万博の閉幕後、すぐにでも一般家庭や旅館・ホテルに、この『万博モデル』を普及させたいです」と話す。人々の健康増進とともに、誘客材料にもなりそうなこのミライ人間洗濯機。旅館・ホテルで導入されるか今後に注目だ。(観光経済新聞)