大日本塗料、9月に本社を移転
2029年度に創立100周年を迎える大日本塗料。同社では「2026中期経営計画」で掲げた「人材及び事業活動の全社最適化」という基本方針のもと、組織力の強化と全社員が持てる力を最大限に発揮できる環境を構築するため、今年9月24日に本社を大阪メトロ御堂筋線・淀屋橋駅に近い大阪市中央区平野町に移転する。
今回の移転プロジェクトでは「Blend(ブレンド)=交わる」を掲げている。これは、単に異なる要素を混ぜ合わせるという意味にとどまらず、多様な背景や役割を持つ人材同士が調和しながら、これまでにない新しい価値を創造していくという意志が込められたコンセプトである。新本社ではこの考え方をすべての起点とし、オフィス環境そのものの設計、日々の働き方、さらには社内コミュニケーションのあり方に至るまでを根本から見直し。従来の部門の壁を打ち破り、社員一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できるしなやかな組織への転換を目指している。

同社塗料製品を採用した「Blend Stage」
今回の移転において最も象徴的な変化が、物理的な空間統合による組織力の強化である。従来は6つのフロアに分散していた本社機能を、新オフィスでは1フロアへと集約する。これにより、部門間の距離を縮め、業務効率の向上と意思決定のスピードアップを追求していく。さらに、オフィスの中央には社内の交流や発表、リフレッシュの拠点となる「Blend Stage」を設置し、日々の動線上には各部署の社員が自然に交差する「Blend Point」を巧みに配置した。この空間設計によって、部門を越えた突発的な相談や連携が日常的に誘発され、単なる業務連絡の域を超えた深いコミュニケーションが活性化される。ここで交わされる対話やアイデアの創出を、迅速な経営判断や新たな事業への取組みに繋げていく。
同時に、社員が主体的に力を発揮するための環境づくりにも徹底したこだわりが見られる。時間と場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するため、業務内容に合わせて自ら最適な働く場所を選択できる「ABW(Activity Based Working)」を本格的に導入する。オフィス内には、個人の業務に没頭できる集中ブース、気軽な打合せに最適なファミレスブース、さらには健康や気分転換に配慮した昇降デスクなど、バリエーション豊かなエリアが整備された。これにより、社員は与えられた席に縛られることなく、自ら考えて最適なワークスタイルを選択し、成果を最大化することが可能となる。この新しい働き方を支えるため、オフィス内ではペーパーレス化を徹底し、書類の70%削減を目標に掲げている。各エリアにデュアルモニターを完備することで、紙の資料に頼らず、すべての確認や情報共有を画面上でシームレスに完結できるインフラも整えられた。
また、空間の刷新と併せて、組織文化のフラット化にも取り組んだ。視覚的な変革としてオフィスカジュアルやガラス張りの会議室を採用し、役職者席も完全に廃止する。さらに踏み込んで、社長自らのトップダウンにより、これまでの役職名で呼び合う慣習をやめ、全社一丸となって「さん呼び」を導入することを決定。役職、年次、あるいは所属部署にとらわれない、誰もが対等な立場で自由に発言し合える、オープンで風通しの良い組織文化の醸成を目指す。この「交わる」オフィスからどのような革新の種が生まれ、次の100年へと紡がれていくのか。今後の同社の展開に期待したいところだ。
▽新本社所在地=大阪市中央区平野町4~2~3・オービック御堂筋ビル5階および4階の一部。
