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ランクセス、事業活動の記者説明会

ランクセスは、2023年度の活動に関する記者説明会を4月21日午後2時から東京都千代田区丸の内のトラストシティカンファレンス・丸の内で開いた。説明会では、ジャック・ペレズ社長が2022年度のグローバルおよび日本での事業活動などを報告。続いて、各ビジネスユニットの日本統括マネージャーによるプレゼンテーションが行われた。
 
ペレズ社長の報告では、同社の2022年度連結売上高は前年比32・6%増の80億8800万ユーロ、特別項目を除くEBITDAは同14・1%増の9億3千万ユーロ、継続事業の純利益は同60・0%増の1億8400万ユーロと、いずれも前年比2桁の増収増益を達成した。事業別ではコンシューマープロテクション部門とスペシャリティディティブス部門が米国事業や価格設定の成功で収益を押し上げた。一方、アドバンスト中間体部門は売上増を達成したものの、需要減少と顧客の在庫調整の影響で減益となった。
 
日本でも2022年度売上高は同27%増と大きな伸びを達成した。
 
2023年度の見通しについて、特別項目を除くEBITDAは第1半期が1億8千万~2億2千万ユーロを、通期は前年度並みをそれぞれ見込んでいる。
 
同社では、プラスチック事業の分離、マイクロビアルコントロール(微生物制御)事業の買収など、今後特殊化学品分野への注力を加速させる。また、持続可能性への取組みでは、クライメイトニュートラル(気候中立)2040目標を掲げ、スコープ1および2排出量削減への明確なロードマップと対策を推進。さらに、ネットゼロバリューチェーンプログラムにより、バリューチェーン全体のスコープ3排出量削減と、2050年までに最終的な気候中立を目指す。
 
この後、三つのビジネスユニットについてのプレゼンテーションを実施。サルティゴ・ビジネスユニット日本統括マネージャーの藤野理哉氏は、「サルチジン(イカリジン)を用いた最新の虫よけ剤」を説明。グローバリゼーション、途上国の発展、地球温暖化で130カ国総人口の80%以上が昆虫媒介疾病のリスクにさらされているという。虫よけ剤は、効果の持続性や有効性、溶解性や安定性などの処方性、適合性、取扱性に優れ、無毒・無刺激・低皮膚透過性など高い安全性を有する。
 
無機顔料ビジネスユニット日本統括マネージャーの菅谷一雄氏は、環境製品宣言(EPD:Environmental Product Declarations)認証を得た世界初の合成酸化鉄メーカーであることを紹介した。同宣言は、ISO14025およびEN15804規格に基づいて独立した第三者監査人によって検証されているもの。ライフサイクルアセスメントに基づき、原材料の入手から製造に至るまで、顔料製造の環境負荷ポテンシャルを詳細に説明している。
 
同社では現在、選ばれた複数の製品群に適用し、環境負荷の明確化とその対策を示している。
 
ラインケミー・ビジネスユニット日本および韓国統括マネージャーの渥美貴生氏は、持続可能性への取組みを解説。ラインケミーは各添加剤市場に特化した10製品をラインアップしており、主にタイヤ市場へ展開している。持続可能性の取組みでは、大規模な産業用蒸気ネットワークを構築。廃棄物焼却による蒸気生成により、同ユニットのCO2を5分の1に削減した。さらに、グリーン電力の活用、老化防止剤製造において持続可能な原材料を50%以上使用など進めている。