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水谷ペイント、防カビ評価法で特許取得

水谷ペイントは、かねてより開発していた防カビ評価試験法「菌糸侵入距離法」が、金沢工業大学と共同で特許を取得したと発表した(特許登録:平成30年10月5日)。特許は、特許番号:第6411803号「抗カビ部材の抗カビ性の評価方法」、特許番号:第6411804号「抗藻菌部材の抗藻菌性の評価方法」となり、既存評価の課題を克服した試験法となる。

菌糸侵入距離法


従来のJIS評価試験方法(シャーレに分注した寒天培地上に塗板を置き、カビ胞子の懸濁液を噴霧して培養し、カビの生育面積を3段階で評価)では、いくつかの課題があると同社では考えていた。液体のまま植菌するため、塗膜に撥水性があると正確性に欠ける点や、3段階の評価方法では定量性が不足する点だ。また、試験片の全体に植菌するため、1つの試験片で1回分しか評価できないや、カビ胞子の懸濁液の作成に手間がかかるなどがあった。
 
こうした課題に対応するため同社では菌糸侵入距離法を開発。試験方法は、寒天培地上に塗板を置き、塗板表面にカビを滅菌したつまようじなどで植菌して培養し、塗板表面へ侵入した菌糸の距離を計測して評価する。こうした評価方法により、液体の植菌ではないため、塗膜の撥水性による影響を受けない。
 
菌糸の侵入距離を測定して評価するため、より定量的な評価が可能となる。また、1つの試験片において2~4カ所に植菌できるため、2~4回分の評価が同時に行え、カビをつまようじで植菌するだけのため、簡便な操作が可能となる。
 
水谷ペイントでは、上市済みの製品を同評価方法で実施。外壁用塗料の「ナノコンポジットW」の防カビ性について、従来の方法では困難であった親水性塗料であるナノコンポジットWの抗カビ性を、菌糸侵入距離法を用いて評価した結果、優れた抗カビ性が確認された。非抗カビ塗料の菌糸侵入率を100%とした場合、ナノコンポジットの侵入率はわずか7%だったとのことだ。なお、壁や天井から直接採取したカビを用いて試験を実施することもできるため、より現実的な評価が行えるとしている。