塗料産業フォーラム、 業界課題をテーマに
日本塗料工業会(若月雄一郎会長)は、12月16日午後1時から「第33回塗料産業フォーラム」を開いた。オンラインで開催され、化学物質規制や化学品物流、カーボンニュートラル、VRを使用した安全活動をテーマとした4講演が行われた。
最初の講演では、厚生労働省の猿渡敬氏が「労働安全衛生法に基づく新たな化学物質規制のポイント」を解説。規制見直しの経緯と全体像を最初に解説した上で、職場における化学物質管理の課題、労働安全衛生法における化学物質規制、危険有害性の情報伝達を説明した。自律的な化学物質管理を行う仕組みへの転換により、化学物質の危険・有害性情報を確実に伝達し、その情報に基づきリスクアセスメントを的確に実施することが重要となっていると話した。
続いて「フィジカルインターネット実現会議 化学品WGの設立経緯と現在の活動について」を三井化学の柳井展明氏が発表した。フィジカルインターネットとは、デジタル技術を駆使し、物資、倉庫、車両の空き情報等を見える化し、規格化された容器に詰められた貨物を複数企業の物流資産をシェアしたネットワークで輸送するという共同輸送システムである。化学品の物流の特徴は、危険物が存在し、製品の性状が多岐に渡り小ロット、多頻度化の傾向等があり、昨今の物流問題の影響を受けやすい。そこで次世代の物流システムの構築が必要とのこと。現在は分科会を立ち上げ、トラックの共同輸送の実証実験により課題等を洗い出している。
続いて、トヨタ車体の川合智廣氏が「カーボンニュートラルの実現に向けて~競争力のあるコンパクト塗装ライン構築~」をテーマに登壇。主に自動車塗装ブース(バンパー)のコンパクト化によるCNの取組みを共有した。今後はパンパ―塗装工程以外の車両塗装工程への展開も計画中である。
最後に、TOPPANホールディングスの難波 系治郎氏が「TOPPANホールディングスの安全活動について」をテーマに講演した。同社の安全体系は、個人への安全教育の徹底、客観的な評価軸、標準化と情報共有を軸とし、安全教育ではVRコンテンツを利用し、輪転機のローラーに巻き込まれる疑似体験を受けさせている。