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コラム、人材確保大作戦

人材確保大作戦―③〝育成・定着〟サイクルと国の支援

東京都塗装高等技術専門校の入校者数は、毎年30名前後と安定しており、卒業後の定着率も高い。同校は、東京都塗装工業協同組合の会員企業の従業員が多く入学しているが、卒業間近に生徒に聞くと「そろそろ会社を辞めたい」という卒業生から多く聞かれるという。しかし、卒業後すぐに2級技能検定(建築塗装)資格試験を受験する流れとなっており、生徒のモチベーションを落とさせない仕掛けにより、「辞めたい」と話していた生徒も仕事が続いているという。

また、生徒は同校にて他社企業で働く者と情報交換することで、今働いている会社を複眼的に見つめ直し、自分の居場所に気づくきっかけとなる。さらに、東京都塗装高等技術専門校は、校長をはじめ講師も卒業生が多く、卒業生が学校運営に関わるサイクルができている。毎年30人の学校運営者候補が育っていると言える。担当者も「卒業生が運用する専門校が理想」と話す。

“教育”の充実で“定着”を促進させることができる例だが、東京だからできると言う話で結論付けたくない。費用の面を考えれば、学校のような設備を準備するのは難しいが、活動経費は厚生労働省の助成金をフルに利用したい。例えば、「建設労働者確保育成助成金」は、建設事業者における雇用の改善、技能の向上をめざす中小建設事業主や団体を支援する制度である。技能実習の経費助成や賃金助成だけでなく、「若手者及び女性に魅力ある職場づくり事業」の経費助成も対象としている。技術体験会やインターシップ、表彰制度の経費なども助成が認められるケースがあるので、“育成・定着”するサイクルのきっかけとして利用したい。

助成金頼りだと、継続に不安がという声もあるが、建設業においての人材不足は深刻であるため、国の助成は今後も続くであろう。このような状況の間に、早めに人材を育成するシステムを組み入れる必要がある。

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