奥野製薬工業 脱フッ素への挑戦【2026CJTレポ】
RX Japanは、9月30日からの3日間、幕張メッセにおいて「第9回塗料・塗装設備展(コーティングジャパン)」を開催した。ここでは、編集部が注目した企業、製品サービスを「ブースレポート」として紹介する。
先端材料で未来を切り拓く
展示会場において、持続可能なモノづくりに対応する先進技術で強い関心を集めていたのが奥野製薬工業のブースだ。同社が誇る4部門のうち、今回は「先端材料事業部」がメインに出展。ガラス技術などで培ったノウハウを武器に、表面処理分野へ革新的なソリューションを提案する製品群がズラリと並んだ。

初日午前中から来場者が多く集まった奥野製薬工業ブース
今回の展示における大きな軸となったのが、国際的な環境規制や高機能化ニーズに対応する新材料の提示である。とりわけ欧州を中心に強まる「PFAS(有機フッ素化合物)規制」の波は、日本の製造現場での関心が高まっている。従来一般的であったフッ素系コーティングに代わる環境配慮型の代替技術を提案し、先端材料事業部としての新たな可能性を広くアピールすることが本ブースの主要なテーマとなっていた。
ブースでは、こうした時代の要請に応える先進的な3つのコーティング剤が大きな注目を集めた。ひとつ目は「フッ素樹脂フリー食品用器具向けコーティング剤(トップセラリリース FG)」である。食品製造用の金型や器具はテフロンなどのフッ素コーティングが主流だが、欧州等への輸出において将来的な規制のリスクを抱える。同製品は食品衛生法に適合した非フッ素系でありながら、高い食材のこびりつき・焦げ付き防止効果や優秀な撥水撥油性を実現。半年から1年とされるリコート周期に対応しつつ、国内のコーティング専業業者によるテスト施工も進むなど、耐候性の課題克服に向けた実用化への期待が高まっている。

撥水撥油性が高いトップセラリリースFG(左鍋底に施工)
続いて「粉体への高絶縁・高耐食性コーティング剤(Protector PWシリーズ)」は、鉄粉などの金属粉末表面にシリカ系コーティングを施す技術である。80nmという極薄膜でありながら優れた耐塩水性と高い体積抵抗率を付与し、電池や電子部品向け各種金属酸化物等への応用を可能にした。

「粉体への高絶縁・高耐食性コーティング剤(Protector PWシリーズ)」(左)
粉粒体装置メーカーのパウレック社とのコラボレーションにより、薬剤と装置をセットで提供する販売体制を構築している点も特徴的だ。さらに、同事業部として初挑戦となる参考出展の「フッ素樹脂フリーフィルムへの高離型・防汚性コーティング剤」は、硬化収縮によるカールや反りを抑えつつ優れた離型性や防汚性を付与できる製品で、事業部の領域拡大を強く印象づけた。
ブースを訪れた食品加工メーカーや電子部品メーカーの担当者からは、「欧州輸出を見据えると脱フッ素対応は急務であり、具体的な代替案が提示されていた」等、といった期待の声が寄せられた。環境変化を好機と捉え、先端材料で未来を切り拓く奥野製薬工業の挑戦に、多くの来場者が熱い視線を注いでいた。
