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主要溶剤メーカー調査、原料仕入れ複数化の動き

今春に中東情勢の影響に伴う原材料供給の不安定化が直撃した塗料用シンナー等を製造する溶剤業界。9月初旬に主要溶剤メーカーへ実施したヒアリング調査では、現在の製品供給状況は「正常」もしくは「ほぼ正常」まで回復してきている。供給タイト期における各社の危機対応と、そこから得た教訓、今後の持続可能な供給体制に向けた取組みを追った。

石油化学工業協会の統計をもとに本紙作成     

芳香族(ベンゼン、トルエン、キシレン)製品の1~7月における生産実績推移をみると、6~7月にかけて生産量が右肩上がりで回復している。5月の大型連休による稼働率低下を挟み、7月には年間最高水準に達した。原油・ナフサ調達ルートの代替確保や定修明けの稼働向上等により安定化が進み、 7月の各製品の生産量は前年同月比を上回った。こうした石油由来製品の生産安定化に伴い、溶剤製品の供給も正常化してきた。だが、今年3~5月にかけて生じた中東情勢の影響は、シンナー類をはじめとする溶剤製造にどのような教訓をもたらしたのか。
 
溶剤メーカーへのヒアリング調査によると、3~5月にかけての原料供給不安と需要急増に対し、溶剤メーカー各社は主要顧客への前年実績に基づく割当出荷や制限対応などの苦渋の決断を迫られた。需要が殺到する中、社会的インフラに関わる重要業種への優先出荷を実施し、全社制限を敷きつつも「顧客へのゼロ回答だけは避ける」姿勢を徹底した企業もあった。現場では限られた原料をやりくりするため、配合変更や代替溶剤の提案といった柔軟なサポートを展開。少量ずつの融通や手に入る原料の確保に奔走するなど、顧客の操業停止を回避するための必死の危機対応が続けられた。
 
こうした一連の危機を経て、各社が将来のサプライチェーンリスクに備えた具体的な対策を進めている実態が浮かび上がった。調達面では、貯蔵能力向上のため受入タンクの増設を完了させた事例のほか、安定調達に向けた調達窓口の複数化(マルチソース化)を進める動きが広がっている。一方で、混乱期に急遽確保した高価格な原料が残り、価格転嫁等の課題を残した経験から、「既存の仕入れルートや信頼関係を第一に大切にする」重要性を再認識する声も強い。
 
また販売面でも、顧客に対して計画的な発注や継続購入を働きかけるなど、サプライチェーン全体での連携強化が不可欠となっている。国内メーカーが継続生産を行える環境を共に構築するため、仕入先や顧客との緊密なパートナーシップの再構築が進められている。