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22年度需要予測、 120万t台回復見込む(日塗工)

日本塗料工業会(毛利訓士会長)は3月17日、「2021年度需要実績見込」と「2022年度需要予測」を発表した。2021年度の実績見込を前年比1・6%増の117万4千トンと見込んだ。2022年度の需要予測については、主要メーカーからのアンケート結果に基づき前年度需要実績見込み比4・5%増の122万6千トンとし、120万トン台の回復を予測した。

本調査は公表されている政府、民間の経済見通しおよび主要需要産業の景気動向予測並びに主要メーカーへのアンケート結果から予測したものである。2021、2022年度の各予測は、2年度連続で増加傾向となってはいるが、全体ではコロナ禍前(2019年度)には戻りきれていない。また、分野ごとに回復スピードに差があり、同工業会担当者も「この2年の統計は、工業用分野などで各社のアンケート結果においても違いがあり、予測が難しくなっている」と述べている。

2021年度需要実績見込において、5%以上の回復となったのが、「建物」「建築資材」「機械」「金属製品」。一方で、「船舶」は新造船、修繕船需要が振るわず、需要が停滞した。また、「家庭用」においては前年度の二桁台の大幅な伸びからの反動で、減少すると見込んでいる。全体の結果について、「工業用・住宅関連の回復が顕著に見られたが、オミクロン株の影響や半導体等の部品不足が足かせとなり、下期(9月)から需要回復が鈍化した」とした。

なお、前年度実績値については、VOC排出実態調査から得られた数量である推計値、115万5千トンを使用して計算している。2022年度の需要予測においては、需要回復が遅れていた「船舶」「電気機械」に加え、半導体不足で生産調整が続いていた「新車」の需要増加を予測。また、コロナ禍前のレベルまで回復が見込まれる「木工製品」も7・0%の増加とした。「路面標示」に関しては現状維持に留まるとしている。全体の予測として、「コロナ禍からの反動や需要家の消費マインドの回復による増加基調になる」と、期待が込められた。


なお、同予測については、各会員からのアンケートを2月頃に回収した内容であるため、ロシアによるウクライナへの侵攻など重大なるリスク要因が反映されていない。加えて、さらなる原材料の高騰などによる需要の低迷も懸念されるため、予見困難の状況となっている。各前年度比算出根拠(メーカーコメント参照)については、図の通り。

2021年度 需要実績見込 出所:日本塗料工業会

2022年度 需要予測 出所:日本塗料工業会