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清水寺本堂、平成の大修理が完了

2021.02.01

舞台裏には木材保護塗料

舞台板の張替えを行っていた清水寺本堂の修理が昨年12月に完了した。昨年は、50年ぶりの屋根の檜皮葺(ひわだぶき)の葺き替えも終え、これで平成20年から9つの堂塔を対象にした一連の「平成の大修理」の大プロジェクトは年号を跨ぎ、令和となって完了した。

今回修理を行った建物のほとんどが、清水寺の参拝経路に面して建っている。本堂については、参拝者を受け入れながら修理を行うこととなり、多数の参拝者の通行路を確保しながら工事用仮設物の建設や本体工事の施工を進めていった。本堂では、舞台を使用しながら舞台下の柱の根継ぎ修理や、通常とは異なる檜皮葺材料の使用が苦労したとのことだ。

文化財修理では建築当初の技法にならい、伝統的な材料・工法を用いることを原則とする。古文書の記述等から、江戸時代には屋根に長さ96㎝の檜皮葺を使用していたことが分かり、今回この仕様で復することとした。一般的なものよりも長く重く、前回(昭和42年)確保が困難であったため、違うサイズの修復には難しさがあった。

さて、舞台の修理において、見え隠れとなる面(板同士が接する面や板の下面)には、木材保護塗料が塗布されている。しかし人の目に触れる部分には、使用されていない。また、平成25年度からの建具の漆塗り補修や、平成29年度からの漆喰壁の塗り直し作業においても、材料は汎用製品は使用せず、伝統的に使われてきた材料にて修復を行った。