厚生労働省、リスクアセスメント支援ツール
厚生労働省は7月1日から1週間「全国安全週間」を実施した。化学薬品を扱う塗料・塗装業界において、職場の安全と衛生を確保し、労働災害を未然に防ぐためには、潜在的な危険性や有害性を特定するリスクアセスメントが必須だ。また、労働者の健康と安全、そして環境保全を守るための極めて重要なプロセスいえる。同省では、リスクアセスメントを実施するために欠かせないツールを配信しているが、このほどバージョンアップし、関係者の利用をさらに勧めている。

クリエイト・シンプルの流れ
同省が配信しているのは、リスクアセスメント支援ツール「CREATE‐SIMPLE(クリエイト・シンプル)」で、リスクの程度の見積もりが簡易に図れる。今回の更新内容は、①化学防護手袋の選定支援機能の表示不具合を修正②製品データベースの入力時の不具合を修正の2点。
この支援ツールは、サービス業などを含め、あらゆる業種にむけたもので、簡単に扱うことができる。また、ばく露限界値(またはGHS区分情報に基づく管理目標濃度)と化学物質の取扱い条件等から推定したばく露濃度を比較する方法になっている。
また、英国安全衛生庁(HSE)が作成した、HSE COSHH essentialsなどに基づく、リスクアセスメント手法における考え方を踏まえた、大量(数キロリットル、数トン)の化学物質取扱事業者から極少量(数ミリリットル、数グラム)の化学物質を取扱う事業者まで、業種を問わず幅広い事業者が使用可能な簡易なものである。
そして、新機能として、米国NIOSHの手法などを踏まえたばく露限界値から算出した経皮ばく露限界値と取扱条件等から算出した経皮吸収量を比較する方法により、経皮吸収による有害性のリスクを見積もるとともに、GHS区分情報と取扱条件(着火源の有無等)から取扱物質の危険性についてもリスクを見積もる機能を追加した画期的な簡易なリスクアセスメント支援ツールである。
その他にも、次の特徴がある。
▽労働者の化学物質へのばく露濃度等を測定しなくても使用できる。
▽選択肢から回答を選ぶだけで、簡単にリスクを見積もることが可能。
▽リスク低減措置の検討も支援しており、どこを改善すればリスクが下がるかが確認可能。
▽厚生労働省版コントロール・バンディングでは考慮していない作業条件(換気や作業時間、作業頻度など)の効果も反映。
同省では、リスクアセスメントは単なる「義務」ではなく、持続可能で安全な社会を築くための基盤となる。職場の安全管理の一助に利用してほしいとしている。
詳細については、厚労省「職場のあんぜんサイト」まで。