住友ベークライト、EV高電圧化に対応
住友ベークライト(鍜治屋伸一社長)は4月1日、電気絶縁用の「高耐トラッキング性エポキシ樹脂粉体塗料」を開発したことを発表した。同塗料は、絶縁材料の耐トラッキング性を評価する指標である比較トラッキング指数(CTI)において、900Vという極めて高い数値を達成。電気自動車(EV)のバスバーなど、高電圧が印加される導体の絶縁被覆用途として、安全性と信頼性の向上を図る。

現行製品とのCTI比較
開発の背景には、EVの航続距離延長や充電時間短縮を目的とした、電気システムの「800V化」という世界的な潮流がある。また、空飛ぶクルマ(eVTOL)や再生可能エネルギー関連設備など、1kV級のアプリケーション拡大に伴い、導体の絶縁被覆には従来以上の耐トラッキング性能が求められていた。通常、一般的なエポキシ樹脂粉体塗料のCTIは、300~600V程度だが、新製品は独自の配合技術により、UL規格に準拠した試験で900Vまで到達。高電圧化に伴う絶縁破壊のリスクを大幅に低減できると期待されている。
同製品は熱硬化型のエポキシ樹脂をベースとしており、導体との強力な接着力を発揮するため、使用環境下での絶縁性低下を抑制する。また、優れた絶縁耐久性により導体間の沿面距離を短縮できるため、電気システム全体の小型化・高効率化が可能となる。無溶剤型の粉体塗料であることから、環境保護や生産性の観点でも液状塗料より優位性があり、金型不要で複雑な形状の導体表面へ薄く塗装できる点も大きな特徴である。
同社は、まずはEVのバッテリーバスバー向けを主眼に置き、間もなくサンプル供試を開始する予定だ。今後はEV分野にとどまらず、ドローンや風力発電機のモーターに使用されるバスバー、バスリングなど、高い絶縁信頼性が要求される幅広い産業分野への参入を目指す。高電圧化が進む移動体や電力インフラ市場において、次世代の絶縁ソリューションとして展開を加速させる方針である。
℡03・5462・4757

