主要塗料メーカー決算、価格改定が浸透
国内主要塗料メーカー2026年3月期通期決算が出揃った。国内の建築市場は戸建塗り替え低迷など依然として厳しい環境にあるものの、大規模修繕等のリニューアル需要が底堅く推移。また自動車生産も前期並みとなり価格改定効果で売上を押上げた。こうした人件費や物流費の上昇といった諸コストの圧迫は根強いが、これまで進めてきた製品価格の改定(値上げ)が浸透。採算重視の取組みが実を結び、対象12社のうち9社が増収を果たすなど、総じて底堅い決算となった。

国内市場において、出荷の牽引役となったのは自動車分野の生産正常化である。新車や補修用塗料の出荷が回復基調を維持した。建築分野は戸建て市場が低迷を続けたものの、都市再開発や工場改修、インフラ構造物の維持補修といった既存ストック向けの需要を各社が着実に取り込んだ。また、期末にかけ中東情勢の影響による心理的供給不安から、流通各社やユーザーによる先行きを見越した前倒しの買い込みが発生し、塗料メーカーの売上を押上げた格好になった。特にナフサや溶剤類の需給逼迫への懸念が強まったことにより、心理的不安となり買い込み需要に拍車をかけた。
建築塗料大手のエスケー化研では、こうしたストック分野の需要と価格改定の効果により、売上高が前年同期比3・4%増の1097億円に達するなど、トップラインの底堅さを示した。
収益面では、深刻化する人手不足に伴う人件費の上昇や物流費の増加が共通の課題として重しとなった。しかし、コスト高に対して各社が進めてきた価格転嫁の取組みが結実した。船舶用塗料などの分野で採算重視の戦略を進めた中国塗料が営業利益を前期比13・4%増の174億円に伸ばすなど、コスト上昇分を価格改定で補い、増益を確保するメーカーが相次いだ。対象中7社が営業増益となっている。
時期見通しは予断を許さない状況だ。イサム塗料、菊水化学工業、藤倉化成は中東情勢の影響から原材料価格や物流への影響の見積りが困難として、次期業績予想を見送っている。中国塗料は売上高のみをレンジ形式で発表。他企業でも中東情勢の影響リスクを織り込まず発表するなど、不透明な状態は続く。
直近4月の動向については、日本塗料工業会が発表している業況観測アンケートで金額が前年同期比121・3%、数量が102・4%と、シンナー等の製品価格改定分が上乗せされる結果となっており、前例のない市場環境による今期がスタートした。出荷数量の伸びに対して在庫・生産が追いつかない需給バランスが崩れた状況であり、売上金額が急増する先食いとなる第1四半期になりそうだ。

