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【決算】関西ペイント、過去最高売上・利益

関西ペイント(毛利訓士社長)は5月10日、2024年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比10・5%増の5622億7700万円、営業利益は同60・8%増の515億9500万円、経常利益は同43・4%増の576億8500万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同166・4%増の671億900万円であった。2月に上方修正した計画値を達成し、売上高、全段階利益で過去最高を更新した。
 
セグメント別の状況では、日本は、自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、売上高は前年を上回った。工業、建築、自動車補修用及び防食分野においては、市況が低調に推移したが、販売価格の改善に取り組むなどで売上高は前年を上回った。船舶分野では、外航船修繕向けの数量増加や船舶用塗料の販売子会社の決算日変更の影響により、売上は前年を上回った。利益は、一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格改善に取り組むなどで前年を上回った。これらの結果により、セグメントの売上高は同8・4%増の1653億100万円、セグメント利益は61・5%増の214億5100万円となった。
 
インドでは、建築分野は市場競争の激化やインフレ影響により低価格品へのシフトも進んだことで、売上高は前年並み。一方、自動車生産は安定して販売価格の改善も寄与し、インド全体の売上高は前年を上回った。利益は、一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格の改善に継続して取り組んだことなどから前年を上回った。これらの結果、セグメントの売上高は同7・1%増の1366億4800万円、セグメント利益は同34・8%増の148億700万円となった。
 
欧州においては、トルコの自動車生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだこともあり、売上高は前年を上回った。その他欧州各国においては、主力の工業分野の売上高が堅調に推移し、新規連結したCWSグループの売上高も寄与し、売上高は前年を上回り、欧州全体としても前年を上回った。利益は、インフレの影響による人件費コストの増加があったものの、販売価格の改善に加え、一部の原材料価格とエネルギーコストの低下により前年を上回った。これらの結果、セグメントの売上高は同21・3%増の1359億200万円、セグメント利益は同154・5%増の50億6800万円となった。
 
アジアは、中国において、自動車生産台数は前年を上回ったものの、主要顧客の需要が伸び悩み、売上高は前年を下回った。タイ及びインドネシアにおいては、自動車生産が落ち込むものの、販売価格の改善の取組みにより売上高は前年を上回った。マレーシアにおいては、自動車生産が堅調に推移し、売上高は前年を上回った。利益は、一部の材料価格が低下してきたことに加え、持ち分法による投資利益が増加したことにより、前年を上回った。これらの結果、セグメントの売上高は同5・6%増の718億7600万円、セグメント利益は同43・6%増の105億4800万円となった。

アフリカは、南アフリカ及び近隣諸国の経済は慢性的な電力不足や物価高などの影響で回復が遅れ需要が低迷する中、主力の建築分野での販売価格改善の取組みや、工業分野での需要の取込みなどに注力したが、売上高は前年並みとなった。東アフリカ地域においては、建築分野で拡販に注力したほか、販売価格改善の取組みにより、売上は前年を上回り、アフリカ全体の売上は前年を上回った。利益は、安価品材料への置換などコスト改善に取り組んだことにより、前年を上回った。これらの結果、セグメントの売上高は同3・6%増の433億3800万円、セグメント利益は同49・7%増の40億7700万円となった。
 
その他地域では、北米では自動車生産台数が前年を上回り、売上高は前年を上回った。利益は、売上高の増加や販売価格の改善に伴い営業利益が改善したほか、持分法による投資利益も増加したことなどで、前年を上回った。これらの結果、セグメントの売上高は同30・7%増の92億1千万円、セグメント利益は同139・9%増の32億9700万円となった。
 
2025年3月期の連結業績予想は、売上高は同8・5%増の6100億円、営業利益は同8・5%増の560億円、経常利益は同4・0%増の600億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同40・4%減の400億円を見込む。特にインド市場の圧倒的自動車シェアのもと、工業用も注力し、建築は反転攻勢を意気込む。日本市場は収益改善を図る。