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武蔵塗料HD、 藻類原料の開発急ぐ

武蔵塗料ホールディングス(以下、武蔵塗料HD)は、藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」(運用:ちとせグループ)に参画している。武蔵塗料HDでは2030年までに工業用塗料の塗膜成分を石油由来から植物由来100%の原材料に切り替える製品開発を行っている。「MATSURI」プロジェクトを通じ、石油由来原料の代替に、藻類から抽出される油脂を使用する計画だ。

藻類産業のイメージ


     
武蔵塗料HDが参画した「MATSURI」プロジェクトを運営するちとせグループは、CO2を直接原料にして生産する藻類バイオマスの開発を行っている。その開発をパートナー企業34社と共同して燃料、化成品、化粧品、飼料、食品等の幅広い分野を対象に進める。
 
同プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募したグリーンイノベーション基金事業に採択され、総事業費約500億円の支援を受けることになった。実施期間は2023年度から2030年度までを予定し、藻類由来となるバイオマス原料の開発スピードが加速すると期待されている。パートナー企業には、エネオス、三菱ケミカル、日産化学、資生堂、日本ハム、広島大学等幅広い産・学が参画している。
 
武蔵塗料HDは、同プロジェクトの第1フェーズから関わり、事業出資も行っていた。
 
武蔵塗料HD子会社の武蔵塗料は、既にトウモロコシやひまし油を原料にしたバイオマスペイントを展開しており、昨今の潜在的なニーズの高まりから開発スピードを早めてきた。プラスチックや木材へと用途を拡げ、塗膜部分のバイオマス原材料費率を50%まで高めた(石油由来部分の代替比率)。しかし、現時点で添加剤や顔料、樹脂、シンナー等、バイオマス原料に置き換えられない部分が存在する。質・量ともにバイオマスでは補えない原材料があり、ちとせグループが行っている藻類産業構築による同プロジェクトを通し、バイオマス原料比率を高めたい構えだ。
 
武蔵塗料HDの福井裕美子社長は、「現在、バイオマス比率を高めるため世界中のバイオマス原料を調査している。ちとせ研究所(ちとせグループ)は、藻類から抽出したオイルから組成物を製造する技術力に長けている」と話し、同開発プロジェクトへの期待を寄せる。原料製造までのエネルギー消費量等、バイオ資源としては現在のところ最高ではないかと、同社は評価している。
 
武蔵塗料では2008年にバイオマス塗料の携帯電話への採用実績があり、大量生産および供給の経験がある。具体的な藻類のバイオマスペイントの開発はこれからだが、仮に同原料へ置き換わっても工業用塗料の生産供給に問題はないと言う。
 
同プロジェクトにおいて原料メーカーとなる川上産業や、塗料のユーザーとなる川下産業と情報交換を行いながら、ニーズにマッチした塗料開発が行える。2025年を目途に同プロジェクトにおけるバイオペイントを発表していきたいとしている。「塗料業界は、最近元気がないと言われている。色を創り出す産業の一員として、新しいことを始めやすい環境をつくりたい」(福井社長)と語り、工業用塗料のバイオマス塗膜100%を目指す。