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塗装も下請への加入指導必須 社保加入達成1年切る 

偽装請負の発生を警戒―国交省

 国土交通省は、社会保険未加入対策の目標達成年限の平成29年4月まで1年足らずとなり、社保加入率のアップ策を強化する。公共工事での未加入企業の排除を厳しくし、元請企業による下請への加入指導も強める。日塗装会員各社も改修では元請として下請への加入指導を徹底する必要がある。

 国交省は法定福利費内訳明示の見積書の活用の徹底による法定福利費の確保や、グレーゾーンになりがちな一人親方問題では雇用か請負かを明確化し適切な保険への加入を徹底、相談体制の充実および周知・啓発にも努める構えだ。昨年10月の公共事業労務費調査における社保加入状況調査では、企業別では3保険(雇用、健康、厚生年金)全てに加入が95%と目標の100%をほぼ達成。しかしながら、労働者別では3保険すべてに加入が72%。目標とする製造業並みの90%にはまだ届いておらず、一段とねじを巻く必要があると判断したもの。

 元請(85.0%)は加入割合が高く、1次(70.8%)も改善したが、2次(63.9%)、3次(66.4%)の下請の加入率が悪い。このため下請重層地帯の大都市部の東京(48%)、神奈川(51%)、千葉(45%)、大阪(50%)などの加入率が特に悪く、加入率のアップが急務だ。

 国交省は、29年4月以降は社保未加入作業員の現場入場を原則認めない構え。また国交省は社員の一人親方化による偽装請負=社保負担逃れを警戒しており、厳しく取り締まる方針だ。また、法定福利費内訳明示見積書の活用を推進するための研修会や未加入対策の説明会の全国での開催も7月以降に予定。29年4月以降は目標の達成状況を評価するとともに、元請の下請に対する指導責任の強化など、より厳しい指導体制も検討中だ。

▽「一人親方問題」=一人親方は個人で国民保険や健康保険に加入することになるため、社員を一人親方化し請負を偽装すれば雇用主は社保の責任を免れることになる。このような偽装請負の事例が発生。問題化している。