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溶剤リサイクル工業会、 焼却分1割を再生品に

日本溶剤リサイクル工業会(川瀬泰人会長)は、溶剤を通じてサステイナブル社会の構築に取り組む団体であり正会員19社、賛助会員13社で活動を行っている。その会員の事業活動に国や行政が注目する。2022年4月に「改正地球温暖化対策推進法」が施行され、カーボンニュートラルの観点からも環境省が溶剤リサイクルに大きな関心と期待を寄せ始めた。
 
溶剤リサイクルの事業者数は少ないながらも、扱う溶剤は「産業の血液」と言われるほど、さまざまな産業に関係している。工業会の窓口を通じ、リサイクル量を増やすことができれば、カーボンニュートラルへ向けた貢献度が高いと国は見ている。

国内溶剤需給バランス(日本溶剤リサイクル工業会総会資料より)


 
地球温暖化対策会議の閣議決定では、2030年までに溶剤リサイクル量を71万6千tにする目標数値を立てた。現状となる2021年実績は54万3千tのため、約2割超上乗せする方針だ。その差は17万3千t、この数字目標に対して同工業会の広報部分科会・佐藤祐樹委員長(三丸化学)は、「十分に実現でき、現実的な数字」と語る。実際に、リサイクル品の原料引取り量を見ると、内製再生は33万t、リサイクル専門事業者による外注再生は21万3千tとなる。内製再生工場では、排出量が大きく増えることもなく、新たな設備投資は難しいことからも、リサイクル専門業者の溶剤再生量を増やすことが不可欠となる。

つまり、溶剤リサイクル事業者が既存より引取・再生生産を8割増やすことで目標に近づけていく。現状について「8割と言うと目標が大きく感じられるかもしれないが、現在焼却されている量は約128万tであり、その1割強をリサイクルに回せばよい規模だ。工場のキャパシティの課題もあるが、肌感覚で言えば、稼働率を高め、現在の工場敷地内で設備投資すれば、賄えるレベルだ」(佐藤委員長)と話す。
 
だが、目標達成には国の支援が不可欠であり、同工業会では環境省へ提言を行っている。溶剤の排出事業者向けには、①分別・保管への支援②公的インセンティブの構築を挙げる。具体的には、分別排出の促進の意識向上、関連投資による解決が必要とする。特に溶剤の廃液の保管場所(倉庫等)の補助や、溶剤リサイクルを動機付けとなるインセンティブが必要である。
 
一方、リサイクル事業者へは、①排出と回収のアンマッチ解消②物流能力向上支援③キャパシティアップの支援を提言している。具体的には、運搬や保管の物流能力増強による現在の処理量の余力を活かし、同時に設備投資の支援だ。こうした提言から、物流の課題が焦点と言える。
 
なお、同工業会は溶剤リサイクル情報の受発信基地として、関連する組織や個人の交流拠点として機能しており、新規の会員を随時募集している。
 
℡03・3201・3357