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東レ、ウイルス従来比約100倍の速度で不活化

東レは、即効性に優れる新たな抗ウイルス粒子を開発したと、5月26日に発表した。今回開発した抗ウイルス粒子は、酸化セリウム粒子を特定の分子で被覆させ、独自の合成方法と表面処理技術により、ウイルスに対する吸着性と酸化分解機能を付与することで、新型コロナウイルスを15秒で99.9%以上、5分で99.99%以上不活化する。

これまで、従来のウイルス感染対策として、消毒液のような薬剤による消毒は即効性が高く有効である一方、短時間で揮発するため定期的な消毒が必要としていた。また、揮発しない金属系の抗ウイルス剤は、一般的に持続性はあるが、ウイルスを99.9%不活化するのに1時間以上かかるものが多く、即効性と持続性の両立に課題があった。

同粒子の抗ウイルス性試験内容

 

同社によれば、同粒子のウイルス不活化速度は、従来の上市されている金属系抗ウイルス剤と比較して約100倍以上と、世界最高レベルの即効性を実現したと言う。また、同粒子は揮発せず、薬剤や金属イオンなど有効成分の徐放によるウイルス不活化原理とは異なるため、効果の持続性が期待できる。さらに、危険有害性が低く耐変色性や耐腐食性にも優れる。また、コーティング加工や練り込み加工にも対応が可能なため、東レのマスクおよび医療用ガウン用途向け不織布や、エアフィルター、カーシート、さらには、建築内装用塗料や食品包装用塗料など、飛沫感染や接触感染対策のため抗ウイルス性能が期待される製品に広く適用が可能。今後、順次試験品提供を行っていくとしている。

ウイルス不活化原理