WEB塗料報知|塗料・塗装、コーティング業界のプラットフォーム

陸を走り宇宙を飛ぶ 塗料の機能と意匠の世界

マツダ 塗装で"鉄"を表現 新色マシーングレー

都内のマツダのディーラー販売担当者は、ボディーカラーについて「色にこだわるお客様は、ソウルレッドが一番人気」と話す。

マツダのイメージを思い起こさせるまでになった「ソウルレッド」は、塗料・塗装の技術を高めたことは間違いない。この人気のソウルレッドに続く、特別色として現在注目なのが「マシーングレープレミアムメタリック」(以下マシーングレー)だ。同色は、〝マシーンの美学を追求し続ける企業〟という思いを込め、マシーンを象徴する素材である〝鉄〟の質感とカラーを表現している。現在国内では、アクセラ、アテンザに続き、デミオ、CX‐3も商品改良のリリースの折に、同色を設定したと発表したばかりだ(2016年10月14日)。なお、年内発売予定車のロードスターRFも採用車種となる。

「アテンザセダン」塗色はマシーングレープレミアムメタリック(マツダ提供)


〝鉄〟の質感を表現するために、塗料・塗装の技術ポイントは二つある。まず一つは、塗膜の体積(厚み)を大幅に収縮させたこと。塗装する前の下地と吸収層の平滑性を高め、そこに反射層の膜厚を均一に塗装し、体積収縮の技術により、アルミフレークを水平化させた。この体積収縮技術の向上で、反射層だけで言えば、ソウルレッドの約4分の一の2・5μmの厚さになった。塗膜が薄くなることは、つまり、アルミが平滑に敷きつめられることになる。これにより、反射光が拡散することなく、強い輝きを放つことができた。

また、マシーングレーの塗膜構成を見ると、平滑に並んだアルミフレークの反射層の下に、微小な粒子径のカーボンを用いた発色のある漆黒顔料を使用した。これが第2のポイントである。ブラックをアルミフレークの隙間から透過させることで、光の当たらない部分に鉄独特の黒色を加味させている。光と影の部分を生み出すことで、コントラストを際立たせ、〝鉄〟の質感を表現する手法を取った。

なお、マシーングレーは、水性塗料と溶剤塗料のどちらのラインでも生産が可能である。まずは水性のアクアテック塗装でCX―9(海外専用車種)で量産を開始し、その後、溶剤塗料を開発して、アクセラ、アテンザを生産した。

記者も実際にマシーングレーを見にディーラーへ訪れたが、通常のメタリックと違い、落ち着いた発色と深みがあった。顧客の反応も上々のようだ。大幅改良したアクセラの購入者に占める同色の比率実績は、約20%と高い。オプション費用が発生するにもかかわらず、人気を博している。有彩色のマツダのアイコンカラーをソウルレッドだとすると、無彩色では、マシーングレーとなりそうだ。

最後に注目される新色を連発する同社に、カラーにおけるマーケティング効果の狙いを聞いたところ、「現状はボディーカラーとマーケティングを直接は結び付けて考えていません。しかし、〝カラーも造形の一部〟という考えのもと、他社にはないマツダならではのカラーブランドを象徴するものとして、提供させて頂いています」と話し、色へのこだわりは深い。

続き JR東日本 四季島に特別調合のゴールド

1 2 3