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〈5〉コラム:建築塗装 採用できる・できない求人広告

1-5.良い塗装職人が採用できる求人広告・できない求人広告

〈5〉塗装店向け採用・教育の指南コラム

著者プロフィール:

日本建築塗装職人の会 会長 青木忠史
「日本を代表とする建築塗装店向けに展開する経営コンサルタント。
29歳の時、家業の建築塗装店を継ぎ、6,000万円超の借金をわずか3年で完済。そこから生まれた「地域密着型経営」、「職人直営専門店」の塗装店戦略を体系化し、コンサルタント業へ。これまで7,000件以上の塗装店経営者の経営相談を受け、700社以上の塗装店経営者へ直接経営指導してきた。

〈コラムの概要:著者インタビュー〉

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前回の1-4.「塗装店の安定経営の基本「理念・ビジョン・価値観マッチング採用」について、お話をしました。この考え方が土台となり、今回の求人広告の作成に進むというイメージとなります。

そこで今回は、「良い塗装職人が採用できる求人広告・できない求人広告」について、具体的な事例を元にお話ししてみたいと思います。これまでなかなか求人でうまく行かなかった方には、とても参考になると思います。

ではさっそく始めますね。

1.良い塗装職人が採用できない求人広告

そもそも、なぜ「理念・ビジョン・価値観マッチング採用」なのかと思われる方もいることと思います。ではまずは、理念・ビジョン・価値観マッチング採用と一般採用との比較表をご覧ください。

そもそも「衛生要因」とは以下の要因を指しています。
・給与
・賞与
・勤務時間
・休日休暇
・福利厚生
・職場の物理的環境(立地・社屋・作業空間等)

これらを「衛生要因」と言いますが、「衛生要因」の特徴としては、「不満を予防する役目はあるが、満たせば満たすほどより多くを望むようになる」と言われているため、業界平均以上を目指しながらも、「動機づけ要因」を含めた見せ方をすることが重要なのです。

衛生要因広告の具体的事例は以下のとおりです。


一般的によく見かける広告ですよね。

残念ながら、このような求人広告では、自社のことをよく理解してくれる人材や、職人として人生を貫いていきたいという未経験人材を採用することはなかなか難しいものです…。そのため、転職者と企業が真にフィットしていくためには、次に説明する「動機づけ要因」を含んだ求人広告を作成することが大切なのです。

2.良い塗装職人を採用できる求人広告

次に、良い塗装職人を採用できる求人広告を紹介します。それは「動機づけ要因広告」です。

「動機づけ要因」とは以下のとおりとなります。
①人間関係‥上司・部下・同僚との関係
承認・称賛‥仕事に対する承認や称賛
③達成‥仕事を通した達成感
④成長‥仕事を通して技能的・精神的な成長を味わえること
⑤裁量・責任‥経験を積むごとに責任を伴う裁量の幅が増えている実感が持てること
⑥貢献‥仕事を通して仲間や社会に対して貢献している実感が持てること
⑦主観正義‥業界や社会に対して、個人・組織独自の正義を追求出来ていること

「動機づけ要因」の特徴としては、より企業にマッチする人材と巡り合うことができるようになっていくのですが、根底には当然ながら「衛生要因」もある程度押さえておく必要があるということです。なぜなら、「動機づけ要因」で納得してこの会社で働きたい!と思っていただいても、「衛生要因」があまりにも悪すぎると、入社意欲が減退してしまうこともあるからです。(「動機づけ要因」とは、求人サイト大手「エン転職」を運営する(株)エンジャパンが提唱している「エン動機づけ理論」を指しています)

動機づけ要因広告の事例は以下のとおりです。

(上記の事例は「のび太くん採用」(日本建築塗装職人の会 会長 青木忠史:著)の一部です)
また、上記の求人広告事例は、新人を対象にしていますが、経験者においても同じように、経験者に合わせた「動機づけ要因」を考えて、求人広告を書いていくことで、これまでより、良い塗装職人を採用することができるようになります。

3.「動機づけ要因広告」を出すための3つの大切なこと

さらに「動機づけ要因広告」を出すための大切なことを3点紹介しますね。

1点目
「誇大表現」にならないように、普段から「会社のあり方」や「運営の仕方」などにおいても、取り組んでいくことです。特に、小さな塗装工事店の場合には、代表が自ら新人教育を行う覚悟で、「〇〇年の熟練職人が丁寧に指導しますので安心してください」とも表現できる状況・覚悟を代表自ら作っておくという心構えが大切です。

2点目
「衛生要因の求人広告」で集まる人数より、「動機づけ要因の求人広告」で集まる人数のほうが少ない可能性が高いということを理解しておくことです。その上で、マッチした人材のみを採用し、マッチしない人材は採用しないという判断基準を持つことが大切です。

3点目
「自社はまだまだ小さくて魅力のない会社だ…」等と考えず、現状の自社を魅力的に表現するということが大切です。エンジャパンの越智通勝会長はよく「~~だからいいんだ」「~~だからうちは魅力的なんだ」と、小さな会社ほど開き直ることが大切と言います。

以上、3点が「動機づけ要因広告」を出すための大切なことです。

まとめ

塗装工事店は、一朝一夕でできるものではありませんので、このような「動機づけ要因広告」による「採用活動」を継続的に行っていくことを通して、他店と差別化できる「動機づけ要因」をつくっていくことを目標にしていくことも大切ですね。次は、「正しい採用面接法」についてお話ししますね。

ではまたお会いしましょう!